【TS ギタリストな男女の入れ替わり】君の音で、私が生きる

女装と男女の入れ替わりは自己責任で♪

この記事は約6分で読めます。

文化祭まで、あと一週間。

放課後の音楽室は、熱気と音で満ちていた。

「じゃあ、次の曲もう一回いくよー!」

そう言ってリーダーの咲(さき)がギターを構えた。

女子とは思えないほどキレのあるカッティングと、真剣な目つき。

けど、その目がふと俺の方を見て、やわらかくほころぶ。

「……遥(はるか)、ちゃんと見ててよ?」

俺――真中遥は、彼女のギターの指さばきを黙って見つめた。

バンドメンバーの一員……ではなく、単なるサポート要員として。

咲はクラスでも人気の美少女で、しかもギターの腕もプロ並み。

目立つことが苦手な俺とは正反対の存在だ。

なのに、なぜか気に入られて、ギター運びや機材調整なんかを手伝わされていた。

(俺には、関係ない世界のはずだったのに……)

そんなふうに思っていた、あの日までは。

転機が訪れたのは、文化祭の数日前の夜だった。

遅くまで練習に付き合わされ、帰り道に咲とふたりで並んで歩いていたときのこと。

「ねえ遥。今日もありがと」

「あ、うん。別に、俺なんて何も……」

「そんなことないよ。……実はね、バンドメンバーのことで少し悩んでて……」

そう言って、咲はぽつぽつと話し始めた。

メンバーのひとりが文化祭後に転校してしまうこと。

今回のステージが、その子との最後の演奏になること。

だから絶対に成功させたいと。

「でも……もし途中で私が倒れたらどうしようって思っちゃって。緊張しててさ……」

そんな咲の弱音を聞いたのは初めてで、俺はただ、「大丈夫」としか言えなかった。

そして、帰り道の神社で願いごとをした直後だった。

めまいのような感覚と共に、俺は意識を失った。

目を覚ましたとき、そこは見慣れない天井の部屋。

鏡の中の自分を見て、俺は言葉を失った。

「……え、誰……?」

鏡に映っていたのは、あの咲の姿だった。

それも、部屋着のまま、髪を下ろして、胸元がふわりと開いたパジャマ姿で。

「ちょ、ちょっと待て! なんで俺が……!」

混乱する俺の耳に、部屋の奥からスマホの着信音が鳴る。

画面を見ると『真中遥』と表示されている。

恐る恐る通話を繋げると、そこから聞こえたのは――俺の声だった。

『お、起きた? あのさ……たぶん、入れ替わってる』

「……マジかよ」

それが、俺と咲の奇妙な入れ替わり生活の始まりだった。

その翌朝。

「う、うわっ……スカート、短っ……!」

制服に着替えるとき、まず困ったのは、やっぱり女子の下着と制服だった。

パジャマからブラとショーツに手を伸ばすたびに、「俺、何やってんだ……!」と羞恥心に襲われる。

胸元にしっかりフィットするブラ。

ぴったりしたシャツ。

リボンタイ、ブレザー、そして、あの……スカート。

ストッキングの感触も、見慣れた自分の太ももではなく、柔らかく滑らかで。

「これは……落ち着かねぇ……!」

けれど咲の身体で彼女の家を出て、彼女の通う学校へ行くためには、どうしても避けられなかった。

教室に入ると、みんなが一斉に咲へ――つまり俺に――注目する。

「咲ちゃん、おはよー!」

「今日もかわいいね!」

その言葉を受けて、作り笑いを返すのが、これほど難しいなんて思わなかった。

(こんな世界、俺には無理だ……)

けれど、その日。放課後のバンド練習で、さらなる試練が待っていた。

「ねえ咲、ちょっとギター合わせてみてよ!」

メンバーにそう言われて、俺は戸惑う。

(ギターなんて触ったことないのに……!)

でも、どうにか弾いてみると――なぜか、指が勝手に動く。

(……あれ?)

驚いたのは俺自身だった。

体が覚えているのか、咲のギターの記憶が、まるで俺に流れ込んでくるような感覚だった。

そして――その音が鳴った瞬間、メンバーたちがざわついた。

「咲、今のすごいよ! いつもより熱が入ってる!」

「今日の咲ちゃん、なんか違う!」

内心パニックだったが、俺はギターを抱えながら、どこか高揚している自分に気づいていた。

咲の身体が、音を出すたびに、心が震える。

この体は、音楽のために生きてる――そんな気がした。

(……俺が、このまま演奏していいのか?)

揺れる気持ちのまま、文化祭当日が近づいていった。

目立つのが苦手な人が人前でギターなんて弾けませんけどねw

いや、ギター自体は陰で練習してる人もいますが。

一人でこっそり練習してるだけでも楽しいですよ?

と、個人的には思ってます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました