田中悠人は、高校生活の終わりが近づくにつれ、心の中である願望を抱いていた。
ずっとクラスの女子たちが着ている制服に憧れていたのだ。
特にクラスメイトの佐藤真奈美がいつも着ている黒いブレザーとスカートの組み合わせが、彼には魅力的に映っていた。
ある日、意を決して真奈美に声をかけた。「あのさ、ちょっと変なお願いがあるんだけど、俺と入れ替わってくれないかな?」悠人は自分の言葉に驚きつつも、何とか言い切った。
「入れ替わり?どういうこと?」真奈美は最初驚いた顔をしていたが、やがて面白がるように微笑んだ。「へぇ、そんなこと考えてたんだ。でも、まぁ、いいかもね。ちょっと試してみようか?」
悠人は彼女の了承を得て、放課後に使われていない教室で待ち合わせることになった。
期待に胸を高鳴らせ、ついに自分が女子の制服を着る瞬間が訪れると思い、彼はワクワクしていた。
約束の時間に教室へ入ると、そこには誰もいなかった。
少し遅れるのかな、と軽く肩をすくめて悠人はしばらく待った。
しかし、誰も来る気配がなく、ふと後ろから不意に声が聞こえた。
「どうしたの?制服着るんでしょ?」
振り返るとそこには真奈美が立っていた――が、その瞬間、彼の意識がふわっと遠のいていった。
――しばらくして、目が覚めた悠人は、教室の中でぼんやりと立っていた。
なんだか夢を見たような気分だったが、次の瞬間、目に映ったのは自分の姿ではなく、女子制服を着た身体だった。
「えっ?」悠人は驚いて自分の手を見つめた。紺色のブレザー、スカート、そして黒のハイソックス。
確かに自分は女子制服を着ていたのだ。
それに気づいた彼は嬉しくて思わずスマートフォンを取り出し、鏡の前で自撮りをしようとした。
スマホのカメラに映った自分の姿を確認した瞬間、悠人は何かが違うことに気づいた。
鏡越しに映るのは女子制服を着た女性の姿――でも、その顔は……自分のものではなかった。
悠人は鏡に映る女性の顔をじっと見つめた。
そこに映っていたのは、彼がよく知る山田先生、熟年の女性教師の顔だった。
「なんで俺が……?」悠人はパニックに陥った。
手に持っていたスマートフォンも床に落ち、その音でさらに混乱が増した。
その時、教室の扉がゆっくりと開き、真奈美が入ってきた。
彼女は不敵な笑みを浮かべて、ゆっくりと悠人に近づいてきた。
「どう?気づいたみたいね。残念だけど、あなたが入れ替わったのは私じゃなくて、山田先生よ。」
「え、どういうことだよ!?俺はお前と……」
「ふふ、簡単なことよ。山田先生、若さが欲しかったみたいでね。だからあなたを利用して、彼女とあなたを入れ替えさせたの。私はちょっと手伝っただけ。面白いでしょ?」真奈美は楽しそうに話しながら、悠人を見下ろしていた。
悠人は愕然とした。
彼は真奈美との入れ替わりを望んでいたのに、結果として彼女はこの奇妙な取引の黒幕だったのだ。
「どうしてそんなことを……」悠人は震える声で尋ねたが、真奈美は肩をすくめた。
「私?別に深い理由なんてないわ。ただ面白そうだったからやってみただけ。あなたも制服を着たいって言ってたし、願いが叶ったんだから満足でしょ?」
悠人は呆然としながら、もう一度鏡に映る自分――いや、山田先生の姿を見つめた。
確かに、女子制服は着ている。
だが、その喜びはまるで虚無に感じられた。自分の顔ではなく、年老いた顔に覆われた身体。
「こんなの、望んでない……」悠人は呟いたが、真奈美は微笑んだままだった。
「まあ、しばらくその身体で過ごしてみなさいよ。新しい経験、きっと楽しいわよ。」そう言い残して、真奈美は教室を後にした。
悠人はその場に立ち尽くし、制服姿の自分を見つめ続けた。
実際はアラフォーの男が制服着て自撮りしてるので
この話よりもさらに酷い見た目ですが。
自分の欲望を叶えてくれる人って、多分裏があるんだと思いますよ。
頼まれた側も何か利益を享受出来ないとねぇ。
歳上の女性が制服着てくれるとか、私的にはご褒美ですが
友人に頼んてもやってくれないしな。。。
こちらは以前にアップしたお話ですが、追加ストーリーを書いてみました。
改めて読んでもらえると幸いです♪
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