和装の彼女、僕の身体 【TSF、入れ替わり、着物】

ここに掲載しているのは電子書籍版の冒頭サンプルです。 完成版はKindle/Kindle Unlimitedで配信中です。

「ねぇ悠斗、ここって縁結びで有名な神社なんだって」

美咲が俺の手を引いて、山の中にある神社へと歩いていく。

朱色の鳥居が並ぶ石段を登ると、境内は静かで厳かな雰囲気に包まれていた。

「カップルで願掛けすると、絆が深まるんだって」

美咲が微笑みながら、小さな木札に願い事を書いている。

「ずっと一緒にいられますように」……か。かわいいやつだな。

俺も適当に「美咲と幸せに過ごせますように」と書いた。

「じゃあ、一緒に絵馬をかけよっか」

二人で並んで絵馬を奉納し、鈴を鳴らして手を合わせる。

その瞬間――目の前がふっと暗くなった。

「……っ」

意識が戻ると、目の前に見慣れた自分の顔があった。いや、自分の顔……?

「えっ……えええっ!?」

美咲の声で叫んだのは、俺のはずなのに、聞こえてきたのは柔らかく高い声だった

目の前の”俺”が驚いた表情で俺を見つめている。

「まさか……入れ替わった?」

焦りながら手を動かすと、見覚えのない白く細い指が動いた。

視線を下げると、淡い色の着物が目に入る。

そして――妙に締め付けられる感覚がある。

「な、なんか苦しい……?」

俺は無意識に胸元を押さえる。指先に伝わるのは柔らかく弾力のある感触。

「……っ!」

瞬間、体中にじんわりとした違和感が広がる。

普段なら絶対にありえない感覚に、心臓が跳ね上がった。

「お、おい、これ……やばくね?」

俺がパニックになっている横で、美咲――つまり俺の体に入った彼女も顔を引きつらせていた。

「ちょっと待って、なんか……落ち着かない……」

美咲は、ぎこちない動きでズボンの前を気にしている。

「うわ……」

言葉を失いながら、彼女は顔を赤くして足を閉じたり開いたりしていた。

「悠斗、これ、めちゃくちゃ変な感じ……! 座ると、なんかこう……邪魔……?」

「言うな!! 俺だって、すごい違和感あるんだから!」

女性の体になった俺は、胸だけじゃなく、下着の感触にも戸惑っていた。

いつもなら何も気にしないはずの肌着が、やたらと締め付けてくる。

特に腰回りのきつさと、下着の布の薄さがどうにも落ち着かない。

「は、早く戻らないと……」

俺たちはお互いの体を意識しないようにしながら、慣れない動きで神社を後にした。

なんとか動きを慣らしながら、美咲の家に到着した。

玄関の扉を開けると、母親が迎えてくれる。

「あら、美咲、着物似合ってるわね」

「え、えっと……ありがと……」

俺は美咲になりきろうと、できる限り丁寧な口調で答える。

「少し歩きにくいけど、どう?」

「う、うん……ちょっと違和感あるけど……」

母親は「ふふっ」と微笑みながら、お茶を入れてくれた。

美咲――つまり悠斗がこっそり視線を送ってくる。

(俺、ちゃんとできてるか?)

(うん、大丈夫……!)

だが、母親の視線が鋭くなる。

「美咲、なんだか今日は少しぎこちないわね」

冷や汗が流れる。母親の目はごまかせない……!

なんとか母親の追及をかわし、俺は美咲として一日を過ごした。

慣れない着物の感触、女性としての振る舞いに戸惑いながらも、次第に自然に動けるようになっていく。

一方で、悠斗(美咲)は自分の体を試すように動いていた。

「おぉ、男の腕ってこんなに力強いんだね……」

「変なことすんなよ!?」

美咲の表情が悪戯っぽくなる。

「じゃあ、悠斗はどんな気分? 女の体って、こう……感覚違うでしょ?」

「えっ……そ、それは……」

頬が熱くなる。肌の感覚、胸の重さ、すべてが繊細で敏感に感じられる。

ふとした動きで髪が揺れるだけで、くすぐったくて妙な気分になる。

「ふふ、私の体だから大事にしてよ?」

「そっちこそ、俺の体で変なことすんなよ……!」

互いに意識し合いながらも、俺たちはこの状況をどうするか考えていた。

「ねぇ、もう一度神社に行こう」

そう提案したのは美咲だった。

「このままじゃ色々不便すぎるし、やっぱり戻らないと……」

「そうだな……」

再び神社に向かい、今度は手を合わせながら願いを込める。

「元の体に戻れますように……!」

風がそよぎ、鈴の音が響く。次の瞬間――また、意識が遠のいた。

目を開けると、俺の体に戻っていた。

「やった……!」

美咲と顔を見合わせ、安堵の笑みを浮かべる。

「なんだか不思議な体験だったね」

「もう二度とゴメンだけどな」

そう言いながらも、俺はどこか名残惜しい気持ちを抱えていた。

美咲の視線も、どこか複雑そうで……。

こうして俺たちの”入れ替わりの一日”は幕を閉じた。

だが、お互いの体を知ったことで、今まで以上に相手を大切に思えるようになった気がする――。

女性になって着物を着るってどっちがインパクト強いんですかね?

女性の身体も気になるけど、着物の違和感は普段洋服着てるとわからん。

普通に着物着てるといつも通りに動けず大変です。

そんな中で自分の身体に対して色々考える余裕はあるのでしょうか?

私は多分着物そっちのけて自分の身体を確認します。

あの日、神社での出来事は奇跡だったのか、それとも何かのいたずらだったのか。ともかく俺と美咲は無事に元の体に戻ることができた。

だが――。

「ねぇ悠斗、せっかくだから試してみない?」

美咲が悪戯っぽく微笑みながら、俺に服を差し出してきた。

「……なんで俺が美咲の服を着るんだよ」
「だって、一度はお互いの体になったんだし、もう少しだけ相手の気持ちを理解してみたいなって」

そんなこと言われたら、断りにくい……。

それに、美咲の言うことも一理ある。

俺は男の体に戻った途端に安心して、彼女がどれだけ苦労したかをちゃんと考えてなかったかもしれない。

「……まぁ、試しに着るだけなら」
「やった!」

俺はそう返事したものの、美咲の嬉しそうな表情に少し不安を覚えた。

「はい、これ着てみて!」

そう言って美咲が用意したのは、淡いピンクのブラウスとフレアスカート。

そして、その手には――

「……ちょっと待て。なんで下着まで渡そうとしてるんだよ」
「え? そりゃ、ちゃんと着ないと不自然でしょ?」

美咲は当たり前のように、ブラトップとショーツのセットを俺に差し出した。

「無理無理無理! 下着は俺のままでいいだろ!」
「ダメ! せっかくならちゃんとしたほうがいいよ!」

満面の笑みで迫ってくる美咲に、俺は後ずさる。

「なぁ美咲、さすがにそれは……」
「私だって悠斗の下着つけるよ? 交換なんだから!」

「はぁ!?」

俺は思わず大声を出してしまった。

「ちょっ、お前、それはさすがに……!」
「なんで? だって、こっちも下着の感覚をちゃんと知っておかないと平等じゃない?」

美咲は悪戯っぽく笑いながら、俺のタンスを勝手に開け始める。

「お、おい! 勝手に開けんな!」
「どれにしようかなぁ~♪ ん? 悠斗、意外とシンプルなやつばっかりなんだね」

俺は顔を真っ赤にして、美咲を止めようとするが、すでに俺のトランクスを手に取っていた。

「よし、これ借りるね!」

そう言って、美咲は俺のトランクスを手に持ち、まるで戦利品のように誇らしげに掲げた。

「お前、まじでやめろって!!」

必死に止めようとする俺をよそに、美咲はにやにやと笑う。

「悠斗だって、ちゃんと私の着けてるでしょ?」

そう言われて、俺は自分の格好を再確認した。

確かに、ブラトップをつけたことで胸の締め付けが妙に気になり、ショーツの感触も普段のトランクスとはまったく違う。

薄くて柔らかくて、妙に密着する感じが落ち着かない。

(うわ……これ、かなり違和感ある……)

「どんな感じ?」
「……すごい変な感じする」

俺が小さな声で答えると、美咲はさらににやっと笑った。

「でしょ? だから私も悠斗の体の時、すっごく違和感あったんだから!」

そう言われると、俺は何も言い返せなかった。

「ほら、もうちょっと慣れてみようよ?」

美咲は楽しそうに俺の手を引いて、鏡の前に立たせる。

そこには――女の子の服を着て、ブラトップとショーツの感触に落ち着かない顔をした俺が映っていた。

「ふふ、悠斗、やっぱりかわいいよ」
「……もう勘弁してくれ」

こうして、俺たちは完全に”入れ替わり体験”を再現する形になったのだった――。

「それにしても、悠斗、意外と違和感ないよ?」
「いや、めちゃくちゃ違和感あるんだけど!?」

美咲はくすくす笑いながら、俺のスカートの裾を少しつまんで揺らしてくる。

「お、おい! やめろって!」
「なんか、悠斗って女の子になってもかわいいかも」

顔が熱くなる。

やめてくれ、そんなこと言われたら余計に恥ずかしい。

「じゃあ、この格好でちょっと外に出てみようか」
「は!? いやいやいや、それは無理だろ!」
「大丈夫だって。どう見ても普通のカップルに見えるよ?」

……確かに、美咲は完全にボーイッシュな雰囲気になってるし、俺も遠目で見れば女の子に見えなくもない。でも――

「俺の精神がもたねえよ……」

そう言って渋る俺の腕を、美咲はぐいっと引っ張った。

「ほら、行くよ!」

結局、俺たちは近くのカフェまで足を運んだ。

「いらっしゃいませ」

店員さんは特に何の疑いもなく、俺たちを普通のカップルとして迎えてくれた。

……いや、俺は男なんだけど!? でも、こうして静かに座っていると、自分が本当に女の子になったみたいな感覚になってくる。

「悠斗、大丈夫?」
「……なんか、すごい不思議な気分だ」

隣に座る美咲は、ショートカットのウィッグまで用意して、完全に”男の子”になりきっていた。

その様子を見て、俺もなんとなくスカートの裾を直しながら、女の子らしく振る舞ってみる。

「……なんか、慣れると平気かも」
「でしょ?」

美咲が笑う。

「私もさ、悠斗の体になった時、最初は違和感だらけだったけど、少しずつ慣れたら、結構楽しかったんだよね」
「……まぁ、確かに、俺も……ちょっとだけ面白いかも」

最初は恥ずかしさしかなかったけど、こうして座っているうちに、不思議と”アリ”かもしれないと思えてきた。

「ふふ、また今度、もっと本格的にやってみようよ」
「えぇ……」

美咲は俺の反応を見て楽しそうに微笑んだ。

こうして俺たちは、単なる入れ替わり体験だけでなく、お互いの立場をもっと理解し合うための”交換ファッション”を、新たな趣味にするかもしれない――そんな予感がした。

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