田中拓也は、大学の授業が終わるとすぐに自宅へ戻り、パソコンを立ち上げた。
奨学金だけでは足りない生活費を補うために、彼は高額バイトを探していた。
そんな中、見つけたのは「高額報酬!簡単な家事手伝い」という求人だった。
「簡単な家事でこの報酬か…怪しいけど、やるしかないな。」
疑念を抱きながらも、拓也は応募フォームに記入し、面接の日程を決めた。
面接の日、拓也は指定された豪華な邸宅の門の前で緊張していた。
インターホンを押すと、すぐにドアが開き、中から現れたのは美しい女性だった。
彼女は「桜庭美咲」と名乗り、この家の主人だと説明した。
「田中拓也さんね。お待ちしていました。どうぞ、お入りください。」
美咲の優雅な言動に、拓也は少し圧倒されながらも彼女に従った。
豪邸の中は、まるで別世界のように洗練されており、拓也は居心地の悪さを感じた。
「さて、今日の面接ですが…」と、美咲は笑顔で言った。「あなたにはこの家でメイドとして働いてもらいます。」
「メ、メイドですか?」拓也は驚いて問い返した。「でも、僕は男ですし…」
「ええ、知っているわ。でも、この仕事には性別は関係ないの。むしろ、あなたのような男性だからこそできることがあるのよ。」美咲の笑顔にはどこか冷たさがあった。
その時、部屋の隅から一人の女性が現れた。
彼女は真っ白なメイド服を持っていて、美咲の合図で拓也にそれを手渡した。
「さあ、これに着替えてみて。仕事はそれから説明するわ。」
拓也はその場で立ち尽くした。「ちょっと待ってください。本当に僕がこれを着るんですか?冗談ですよね?」
美咲は淡々と答えた。「もちろん冗談じゃないわ。あなたがこの仕事をやらないというなら、他の人に頼むけど…でも、このバイトを逃したら、今後の生活はどうなるかしら?」
拓也は言葉を失った。確かに、今の生活ではこの高額報酬がなければやっていけない。しかし、男がメイド服を着るなんて…。
「無理強いはしないわ。」美咲は続けた。「ただし、選ぶのはあなたよ。」
迷いと羞恥心が交錯する中、拓也は意を決してメイド服を手に取った。
やがて、部屋の片隅で着替えを終え、鏡の前に立つと、そこにはまるで女性のような姿が映っていた。
「すごく似合ってるわ。」美咲は満足そうに言った。「これであなたも立派なメイドね。」
拓也は顔を赤くし、視線を下げた。「本当に、これでいいんですか…?」
「いいえ、これからが本番よ。」美咲は冷ややかに言い放った。
その日から、拓也のメイドとしての生活が始まった。
最初は掃除や洗濯といった基本的な家事からだったが、美咲の要求は次第にエスカレートしていった。
「今日はこれを着て、外で買い物をしてきて。」と、美咲が差し出したのは、よりフリルの多いメイド服だった。拓也は震えながらそれを受け取った。
「外に出るなんて…恥ずかしいです…」拓也は必死に抵抗したが、美咲は冷たく言い放った。
「あなたがこの家で働いていることを誰にも知られたくないのなら、黙って私の言うことを聞くべきよ。」
仕方なく、拓也はその服を着て外に出た。
街中で人々の視線を感じながら、彼は買い物袋を握りしめ、足早に歩いた。心臓は激しく鼓動し、顔は汗で濡れていた。
「どうしてこんなことになってしまったんだ…」拓也は心の中で繰り返し問い続けた。これが本当に自分の選んだ道だったのかと。
家に戻ると、美咲が待ち構えていた。「おかえり、拓也。どうだった?メイドとしての初めての外出は。」
「…恥ずかしかったです。」拓也は正直に答えた。
「それでいいのよ。恥ずかしさを感じることは、あなたがまだ自分を失っていない証拠だわ。でも、これからはその感情を乗り越えて、もっとプロフェッショナルなメイドになるのよ。」
美咲の言葉は冷酷だったが、どこか優しさも感じられた。
それが逆に、拓也の心を苦しめた。
これ以上、この生活に耐えられるのかという不安が募る一方で、もう後戻りはできないという現実もあった。
数週間が経ち、拓也は次第にメイドとしての生活に慣れていった。
しかし、それと同時に彼の中で何かが壊れていくのを感じていた。
かつての自分を思い出すことさえも、今では辛いことだった。
「拓也、明日は特別なお客様が来るわ。あなたには完璧なメイドとしてのおもてなしを期待しているわよ。」
美咲の言葉に、拓也は無意識にうなずいた。「はい、美咲様。」
彼はもう、自分が誰なのかさえも忘れかけていた。
ある意味悪趣味な洗脳ですね。
歪んだ悪い金持ちってこういう遊びやってるイメージが少しだけあります。
まともな金持ちは質素に生きてるみたいですけどね。
金持ちアピールなんてしたら金に群がる輩が湧き出るらしいので。
うちは金無いです。お金欲しい。
コメント