「じゃあ、本当にこれでいいんだな?」リョウが念を押すように言った。
目の前に立つナオは、少しばかり緊張した様子で頷いた。
二人が通う大学の研究施設で見つけた奇妙な装置――その説明書には「身体交換デバイス」と書かれていた。
好奇心旺盛なリョウが試そうと言い出し、渋々ながらナオも同意したのだった。
「入れ替わって何するつもり?」ナオは少し不安そうに問いかける。
「いや、別に深い意味はないって。ただの実験だよ。すぐ戻せるらしいし。」
リョウの軽い言葉に、ナオはため息をついた。
「じゃあ、始めるぞ。」リョウがスイッチを押すと、機械が低い音を立てて振動を始めた。
ナオは目をつむり、何が起きるのか心配半分、好奇心半分でその瞬間を待った。
気が付いた時、ナオは違和感を覚えた。
目の前にリョウがいる。しかし――何かが違う。
「……え?」声を出そうとした瞬間、リョウが驚いた表情を浮かべた。
「おい、これ……失敗してる!」リョウの言葉に、ナオは自分の身体を見下ろした。
そして愕然とした。頭は自分のままだが、首から下がリョウの身体になっていた。
「どういうこと!? 完全に入れ替わったんじゃないの!?」ナオが叫ぶと、リョウは困ったように頭を掻いた。
「いや、俺だって分からないよ! でも、逆にお前の身体も――」リョウの言葉に気付き、ナオは彼を見る。
リョウの頭がついているが、それは確かに自分の女性の身体だった。
「なんでこんなことに……」ナオは顔を真っ赤にしながらうつむいた。
「ちょっと、これ……どうするの?」ナオは不機嫌そうにリョウを睨みつけたが、その表情には羞恥の色が濃く浮かんでいた。
「まあ、せっかくだし……いろいろ確かめてみるか。」リョウがナオの身体をじっと見つめながら、悪戯っぽく笑う。
「や、やめてよ!」ナオは後ずさりしながら、胸元を押さえた。
しかし、リョウは楽しそうに彼女の――いや、彼自身の手を動かし始めた。
「おいおい、自分の身体だろ? ちょっとくらい触ったっていいじゃん。」
「よくない! だいたいそれは私の――!」
ナオの抗議は、リョウの行動に完全に打ち負かされていた。
リョウは興味津々といった様子で、スカートの裾をつまんで軽く持ち上げた。
「やめてってば!」ナオは必死に止めようとするが、自分の男の身体ではどうにも動きが鈍い。
そして、リョウが自分の太ももを触った瞬間、ナオの羞恥心は限界を迎えた。
「わ、分かった! 早く元に戻そう!」ナオが涙目で叫ぶと、リョウはようやく手を止めた。
「いや、ちょっと待てよ。これ、意外と――」
「ダメ!!」
だがその時、ナオ自身にも新たな困惑が訪れた。
「ちょっと待って、これ……」ナオは自分の身体をじっと見つめながら、異様な違和感に襲われていた。
確かに自分の頭はそのままだが、首から下は完全にリョウの男性の身体になっている。
「どうした? もしかして、何か変な感じするのか?」リョウが悪戯っぽい笑みを浮かべながら、ナオの様子を伺う。
「いや、なんか……変な感覚がする……」ナオは恥ずかしそうに目をそらしたが、どうにもおかしな感覚が胸――いや、今の彼女には胸はなく、もっと下の方で広がっているようだった。
「あれ? もしかして――」リョウが突然ニヤリと笑い、その視線がナオの腰あたりに向けられる。
「おい、やめてよ! なに見てるの!」ナオは慌ててスウェットのズボンを手で隠すが、確かにそこに自分では制御しきれない「変化」が起きていることを感じ取った。
「ははっ、それって……男の生理現象だよな。初めてだから慣れないのか?」
リョウは楽しそうに笑いながら言ったが、ナオにとっては全く笑えない状況だった。
「な、なんでこんなことになるの!? 早く元に戻してよ!」ナオは顔を真っ赤にしながら叫んだが、リョウは余裕の表情を崩さない。
「いやいや、これは貴重な体験だろ? せっかくだし、しっかり味わっておけよ。」
「味わうわけないでしょ! 恥ずかしい!」
ナオは怒りと羞恥心で頭がいっぱいになりながら、リョウを睨みつけた。
「まあ、男ってのはこんなもんだよ。特に朝とか、こういうことは日常茶飯事なんだぜ?」
リョウが軽い口調で言うと、ナオはさらに顔を赤くした。
「嘘でしょ……こんなの毎日あるなんて……」
ナオはため息をつき、どうにか冷静になろうと深呼吸を試みたが、下半身の感覚に意識が集中してしまい、余計に恥ずかしくなるだけだった。
二人はこの異常事態から何とか脱出するため、再び装置を操作し始めたが、ナオの心には「もう二度とこんな実験はしない」という固い決意が刻まれていた。
リョウの方はと言えば――次はどんな「実験」を試そうかと考える楽しみでいっぱいだった。
こんな装置を大学生が使うなんてけしからんですな。
私がそこにいるなら、即押収して持ち帰るところです。
後からこっそり使おうなんて決して考えません。
ついでに、罰として2人にはしばらくそのままの体でいてもらいます!
という妄想でした。
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