鏡の中の彼女【女装】

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AI作文

部屋の中は静まり返っていた。

放課後のまだ明るい陽射しがカーテンの隙間から漏れ、床に柔らかな影を落としている。

制服姿の少年――悠斗(ゆうと)は、自室の姿見の前に立っていた。

鏡の中には、セーラー服を着た一人の「少女」が、にっこりと微笑んでいる。

もちろん、それは現実ではなかった。

「……俺じゃないか、これ」

鏡の前に立つ自分が、まるで“誰か別の存在”であるかのように感じる。

黒髪のポニーテール、紺色のセーラー服、膝上のスカート、そして控えめに指でピースサインを作る仕草。

完全に「女の子」だった。

しかしそれは確かに、自分だった。

自分の目線、自分の表情、自分の身体……けれども、どこか「自分ではない」ような不思議な感覚。

――こんな姿、誰にも見せられない。

心の奥で何度もそう繰り返しながら、悠斗は逃げるように視線を逸らす。

しかし気づけばまた、鏡の中の自分を見つめてしまっている。

女装願望――それは、悠斗が自分の中で長い間、正体不明の「もや」のようなものとして抱えてきた感情だった。

幼いころ、妹のワンピースをこっそり着てみたことがある。

鏡に映ったその姿に、なんとも言えない安心感と高揚感を覚えた。

けれどその後、母親に見つかり、「そんなことしちゃだめでしょ」とやんわり叱られた。

それ以来、その感情は深く心の奥底に押し込められた。

中学生になり、周囲が「男らしさ」「女らしさ」といった言葉を使い始めた頃から、悠斗はその「押し込められた感情」が何だったのかを、少しずつ言語化できるようになっていった。

――自分は、女の子の服を着るのが好きなのかもしれない。

それは性の自認とは違った。

ただ、「可愛くなりたい」「綺麗に見られたい」という衝動。

それを叶える手段が、自分にとっては“女装”だった。

しかし、世間の目は厳しい。

「気持ち悪い」「男のくせに」――そんな言葉を聞くたびに、胸がきゅっと締めつけられた。

そして、ますます自分の本音を隠すようになっていった。

だがある日、母親が掃除中に出してきたダンボールの中に、懐かしい妹の中学時代のセーラー服を見つけた。

その瞬間、押し殺してきた衝動が、堰を切ったように溢れ出した。

「……少しだけなら、いいよな……?」

自分にそう言い聞かせながら、震える手で制服を取り出し、静かに袖を通した。

スカートのホックを止め、鏡の前に立つと――そこには、幼いころに憧れた「あの姿」があった。

鼓動が早くなる。手のひらが汗ばんでくる。

それでも不思議と、気持ちは落ち着いていた。

「これが……俺?」

鏡の中の「少女」は、確かに自分だった。

でも、どこか理想化された“もう一人の自分”のようでもあった。

心の中にあった「なりたかった自分」が、今、目の前に存在している。

嬉しい。怖い。恥ずかしい。でも――幸せだ。

様々な感情がないまぜになり、涙がこぼれそうになる。

けれど悠斗は、鏡の中の「彼女」に向かって、微笑んだ。

「おかえり……」

まるで、ずっと閉じ込めてきた本当の自分に語りかけるように。

それからというもの、悠斗は誰にも気づかれないように、時折こうして“彼女”になる時間を作るようになった。

部屋に鍵をかけ、妹の制服やカチューシャ、メイク道具を使って、鏡の中に「もう一人の自分」を呼び出す。

そしてそのたびに、少しずつ自信を取り戻していった。

「俺は……俺でいいんだろうか?」

本当の意味で「自分を許す」ということが、こんなにも救いになるとは思っていなかった。

ただ、まだ誰にも打ち明けられていない。

親にも、友人にも。この「自分」が知られてしまえば、すべてが壊れてしまうかもしれないという不安がある。

けれど、それでも――

「いつか、誰かに見てほしいな」

鏡の中の彼女が、そっと微笑む。まるで「大丈夫だよ」と語りかけてくるように。

悠斗は小さく頷いた。

「ありがとう、俺」

今はまだ妄想の中でしか会えない彼女。

でもいつか、現実でも彼女として生きる自分を受け入れてくれる誰かが現れるかもしれない。

そんな希望を胸に抱きながら、彼は今日も、鏡の前でそっとスカートの裾を整えるのだった。

今回は自撮り写真を使わずにイラストも生成しました♪

このブログの趣旨からは外れるので、番外編かな?

ということで適当な日に上げてみました。

たまには、好きな服着てもいいと思いますよ。

家族がいるとやり辛いですが。。。

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