翔太と美咲は、もうすぐ結婚を迎えるカップルだ。
交際を始めて3年、付き合い始めてからお互いの気持ちは変わらず、支え合ってきた二人にとって、この結婚は新たな一歩であった。
結婚式の準備は順調に進み、式場探し、招待状の手配、装飾の打ち合わせも滞りなく終わり、ついにウェディングドレスの試着の日がやってきた。
「翔太、今日は私のドレス選びについてきてくれてありがとう!」
「いや、当然だよ。僕だって美咲のドレス姿、楽しみにしてるんだからさ。」
翔太は照れ隠しに笑いながらそう答えた。
美咲のウェディングドレス姿を想像すると、胸が高鳴り、幸せな気持ちでいっぱいになった。
しかし、美咲がドレスを選び、試着を重ねる中で翔太は少し困っていた。
美咲が「このドレス、どう?」と感想を求めても、彼はうまく返答できず、曖昧な返事ばかりしてしまうのだ。
「どれも似合ってるよ、すごく綺麗だし……。」
「それじゃ、選べないじゃない!もっと真剣に考えてくれないと困るよ。」
美咲の真剣な表情に、翔太は申し訳なさを感じつつも、どう答えたらいいのか分からなかった。
自分が着るわけでもないドレスの感想をどう表現すべきか、まったく見当がつかないのだ。
そんな彼を見て、美咲はふと微笑んだ。そして、驚きの提案をした。
「それなら……翔太もこのドレスを着てみたらどうかな?」
「えっ!?僕が?」
美咲は楽しげに頷いた。
「うん。こうして実際に体験してみれば、少しは私の気持ちもわかるんじゃないかなって。」
翔太は冗談かと思い笑い飛ばそうとしたが、美咲の目は本気だった。
そして、美咲は突然とんでもないことを言い出した。
「実は、私には特別な力があって、翔太と体を入れ替えられるんだよ。」
「そんなこと…嘘だろ?」
翔太が戸惑いながら言うと、美咲は笑って肩をすくめる。
「じゃあ、試してみようか。」
美咲が翔太の手を握った瞬間、目の前がふっと暗くなり、体が宙に浮くような不思議な感覚に包まれた。
次に目を開けた時、翔太は目の前に立つ自分の姿を見て愕然とした。
「これって……本当に入れ替わってる!?」
「ふふっ、ね?これであなたも、私がどんな気持ちでドレスを着てるのか、少しは理解できるかも。」
翔太は戸惑いと興奮が入り混じる中で、美咲の体の感覚を意識し始めた。
いつもと違う視点、細い指、柔らかな髪が顔に触れる感覚。
さらには、体の動かし方が普段とは異なることに気付かされ、思わず息を呑んだ。
「これが美咲の体か……なんだか不思議な感じだな。」
「じゃあ、ドレスを着てみて?」
美咲(翔太の体)はにっこり笑って言う。翔太は言われるがまま、ウェディングドレスを試着し始めた。
ドレスは思った以上に重く、体にぴったりとフィットしていて、動きづらさが際立った。
歩こうとすると、裾が足元にまとわりつき、少しでも気を抜くとつまづいてしまいそうになる。
その上、素材が肌に触れる感触が独特で、翔太は次第に緊張し始めた。
「これがウェディングドレスを着るってことか……」
美咲の体を通じて体験することで、翔太は初めて実感した。
美咲が「どう思う?」と何度も聞いてきた理由が、今なら分かる気がした。
「重いし、熱いし、思った以上に大変だね。でも、これを着て歩く美咲は本当にすごいよ。」
翔太がそう言うと、美咲(翔太の体)は少し照れくさそうに微笑んだ。
「分かってくれた?でも、まだまだこれからが本番なんだからね。」
そう言われ、翔太は「本番?」と疑問に思ったが、次の瞬間、思いもよらない展開に襲われる。
「じゃあ、このまま少しの間、入れ替わったままでいましょうか。」
「え?いや、そろそろ元に戻してくれないか?」
翔太が不安げに言うと、美咲(翔太の体)は悪戯っぽく微笑んで言った。
「だって、まだ翔太には私の気持ちをもっと知ってもらいたいんだもの。」
翔太は困惑しつつも、美咲の真意を汲み取ろうと必死だった。
彼女のためにもっと理解しようと努めたものの、元に戻る気配がなく、時間が経つにつれて不安が募っていく。
「もしこのまま、結婚式当日も僕がドレスを着ることになったら……」
頭をよぎる不安な思いを振り払おうとしながら、翔太はドレスの重さと不自由さに慣れる努力を重ねた。
数日が経ち、翔太は美咲の体のままで生活を続けていた。
彼女が普段どんな生活をしているのかを体験し、彼女の趣味や生活リズム、友人との関わりを通じて、美咲がいかに自分のことを大切に思ってくれているかを実感することができた。
ある日の夜、美咲(翔太の体)が翔太のもとにやってきて、こう告げた。
「翔太、もう少しで元に戻してあげるけど……どう?私の気持ち、分かってくれた?」
翔太は真剣な表情で頷いた。
「今まで、美咲の気持ちを軽く考えていた自分がいたかもしれない。でも、こうして君の体を通じて、君がどれだけ真剣に結婚式のことを考えてくれているのかが分かったんだ。ありがとう、美咲。」
その言葉に、美咲はほっとしたように微笑み、翔太の手を握りしめた。
ついに結婚式当日がやってきた。
元の体に戻った翔太は、美咲のウェディングドレス姿を見た瞬間、胸が熱くなり、自然と涙がこぼれそうになった。
彼女がどれほどこの日を大切に思ってくれていたのか、そして自分も彼女と共に人生を歩む覚悟を決めたことを強く実感した。
「美咲、本当に綺麗だよ……」
「ありがとう、翔太。あなたと一緒にここまで来れて、本当に幸せ。」
二人は微笑みを交わし、手を取り合って誓いの言葉を交わした。
翔太は、美咲とのこの特別な瞬間を一生忘れないと誓った。
そして、二人が一緒にいる意味、互いを思いやることの大切さを改めて実感した。
結婚式が終わり、二人は新婚生活をスタートさせた。
翔太は今回の体験から、美咲に対する気持ちがより深まっただけでなく、パートナーの気持ちを理解しようとすることの重要さを学んだ。
それは、これからの生活の中でも忘れないように心に刻んだ教訓だった。
ある日、美咲が笑いながら言った。
「翔太がドレスを着て、私の気持ちを理解してくれたおかげで、本当に安心して結婚生活が始められた気がするよ。」
「僕もだよ。あのときはびっくりしたけど、美咲のおかげで本当に大事なことを学べた。これからもお互いを支え合って、何があっても一緒に乗り越えていこうね。」
二人は固く抱き合い、新たな日々への期待を胸に、これからの未来を共に歩むことを誓った。
結婚後、二人の生活は穏やかで、時には小さなすれ違いがあっても、今回の体験を思い出して互いに寄り添い合うことができた。
翔太は、美咲が感じた不安や期待を理解できるようになり、結婚式当日の誓いを忘れることなく、彼女を大切にすることを心に誓い続けた。
美咲もまた、翔太が自分の気持ちを理解してくれたことで、以前よりも安心感を抱き、さらに深く愛するようになった。
二人にとって、この「入れ替わり」の体験はただの奇妙な出来事ではなく、愛を深め合うための大切なきっかけとなったのだ。
二人は、これからもどんな困難が訪れたとしても、手を取り合って乗り越えていくことだろう。
そして、いつか子どもが生まれ、家族が増えた時には、この特別な体験を「二人の愛の物語」として語り継ぐことを夢見ている。
一度みんなウェディングドレスを着てみると、大変さが分かりますよ♪
上半身は割と涼しげですが、下半身が結構大変ですね。
スカートをパニエで膨らませているので、足に直接素地は触れませんが
空気が断熱材の代わりになってすごく熱がこもります。
あと、単純に重くて動きづらい。
スカート持ち上げないと、そもそもまともに歩けません。
でも、事前に知っていれば式場で女性をエスコートしやすくなりますよきっと。
男女逆転で式を挙げたいなら肩出しはごつく見えるから止めたほうが良いです。
グローブ付けてれば、あとは結構体型隠れるから割と良いかも?
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