夏休み、ケンタはアルバイトで訪れたリゾート地で自由奔放な女性、リサと出会う。
波打ち際で出会ったリサは、開放的な笑顔と明るい性格で、自然にケンタを引き込んでいった。
二人はすぐに仲良くなり、一緒に海で遊んだり、リサの軽快なトークにケンタが引き込まれたりと、あっという間に時間が過ぎていった。
ある夜、二人で浜辺に座り、波音を聞きながら星空を眺めていた。
「ケンタってさ、もっと自由に生きたいとか思わないの?」リサが問いかけてきた。真っすぐな眼差しにケンタは戸惑いながらも答える。
「いや、俺は別に…。自由に生きるってすごいけど、なんか怖いんだよな。周りの目が気になるっていうか…」
リサは少し笑いながら肩をすくめた。「もったいないよ、そんなふうに思ってたら。人生なんて一度きりだし、もっと自分がやりたいことをやった方が楽しいよ」
ケンタはリサの言葉にどこか羨ましさを感じた。
自分には持ち合わせていない自由さ、心のままに行動する力強さ。
リサに触発されつつも、心の奥底では一歩踏み出すことへの怖さを感じていた。
「俺も、もっと自由になれたら…」心の中でそう願った瞬間、二人の間に不思議な感覚が訪れた。
世界が揺れ、意識がふっと遠のくような感じがする。
翌朝、ケンタは目を覚まし、なぜか違和感を覚えた。
身体が妙に軽いし、何より自分の声が出ない。
焦って自分の姿を確認すると、鏡に映っているのはリサの顔だった。
驚きと戸惑いが押し寄せる中、ケンタは動揺しつつも、今は冷静に状況を確認することが大事だと考える。
「おい、リサ…?これって一体どうなってるんだ…?」その場にいたリサ、つまりケンタの体の中に入っているリサが、無邪気に笑った。
「いやぁ、流れ星に願ったらこうなっちゃったみたいね。おもしろいじゃない、せっかくだしこのまま楽しんでみようよ」
「楽しむって…お前、自分の体じゃなくなってるのに平気なのかよ?」
「まあ、いつもと違う自分を楽しむのも悪くないでしょ?それに、せっかくの機会だし、ケンタの生活も体験してみたいしね」
リサの能天気な態度にケンタは少し呆れつつも、仕方なく状況を受け入れることにした。
リサの体で過ごすことになったケンタは、何をするにも慎重にならざるを得なかった。
まず、リサの友人たちとのやりとりも、いつもの自分とはまったく異なる性格で対応する必要があった。
声のトーン、笑顔の作り方、そして彼女の仕草を真似ることが難しく、ケンタは毎回おっかなびっくりで行動する。
「リサちゃん、なんか今日おとなしすぎない?」リサの友人たちに指摘されるたびに、ケンタは焦りながらも、なんとか無難な返答をしようとする。
「あ、いや…ちょっと寝不足でさ…」彼女たちは心配そうな顔をしながらも、ケンタのぎこちない返答を受け入れてくれたが、内心では彼女たちの視線に冷や汗をかいていた。
何よりも戸惑ったのは、リサの体をどこまで自分の意思で動かしていいのか分からなかったことだ。
特に、リサの服装や化粧に関しても、どう扱うべきか迷うばかりだった。
「リサ、この服とか化粧とか、どうすればいいんだ?」
「好きにしていいよ、別に気にすることないって」
「でも、これリサの体なんだし、勝手にいじるのはどうかと思ってさ…」
「そんなに気にしなくていいって。逆に、私がケンタの体で好き放題してるのも気にしないでよね?」
一方で、リサはケンタの体を手に入れてからというもの、自由気ままに動き回っていた。
彼の友人たちとも積極的に話し、ナンパじみた軽口を叩くことで周囲を驚かせていた。
「よう、君かわいいねぇ。今度一緒に遊ばない?」ケンタの体でそんなセリフを吐かれると、女性たちは驚きつつも笑顔で応じていた。
「ケンタくん、どうしちゃったの?いつもそんな風に誘わないのに…」
「今日はちょっと気分が違ってさ、別の自分を見せてみようかなって思っただけ」
リサはケンタの体を自由に動かし、まるで自分がケンタであることを忘れたかのように楽しんでいた。
ケンタはリサの行動を遠くから見て、彼女がいかに自由で大胆な性格であるかを再確認する。
しかし、その反面でケンタは少しずつリサに対して憧れのような感情を抱き始める。
彼女のように自由に生きることができたら、もっと違う自分が見えるのではないかという期待が、心の奥底に芽生え始めていた。
日が経つにつれて、ケンタはリサの大胆な行動力に影響を受け、自分も少しずつ彼女のように振る舞うことができるようになっていく。
リサの友人たちとも自然に会話ができるようになり、リサらしい明るい笑顔を見せることができるようになる。
「リサちゃん、なんか前よりも元気になったね!」友人たちからそう言われると、ケンタは少し恥ずかしそうに微笑んだ。
リサの体でいる間、自分ではない自分を見つけた気がして、心が軽くなるような感覚を味わっていた。
一方のリサも、ケンタの体で生活をする中で、彼の慎重さや周囲に対する配慮が少しずつ自分に染み込んでくるのを感じていた。
周りの人々にどのように見られているかを意識しながら行動することの重要さを、ケンタの体を通して学んでいたのだ。
「ケンタ、なんか最近また少し落ち着いてきた?」ケンタの友人がそう尋ねると、リサは驚いた顔をしながらも、微笑みを浮かべて答えた。
「まぁ、少しね。周りに気を使うってのも悪くないかなって思ってさ」
数日後、流れ星の力が解け、ケンタとリサは再び元の体に戻ることができた。
再び元の体に戻ったケンタとリサは、なんとも言えない不思議な感覚を抱いていた。
自分の体に戻れた安堵感と同時に、相手の体で過ごした時間がどこか懐かしく感じられ、どことなく名残惜しさがあった。
「ふぅ…ようやく元に戻ったか」ケンタが体を伸ばして深呼吸すると、隣でリサが楽しげに笑った。
「やっぱり自分の体が一番しっくりくるね。でも、ケンタの体も意外と悪くなかったよ。普段と違う視点で色々と遊べて、すっごく楽しかった」
「…本当に好き勝手やってたよな。俺の友達にナンパまでしてたし、どう反応していいか分かんなかったぞ」
ケンタは半ば呆れた様子でリサを見たが、リサは全く悪びれることなく肩をすくめる。
「いいじゃない、人生楽しんだもん勝ちでしょ?それに、ケンタも私の体で少しずつ楽しんでたでしょ?」
「そ、それは…」ケンタは少し照れたように視線を逸らす。
確かにリサの体で過ごすうちに、少しずつ彼女の明るさや自由さを感じ、自分もリサのように行動することに心地よさを感じ始めていたのだ。
リサはそんなケンタの様子に満足そうに笑いかけると、ふと真面目な顔になり、静かに問いかけた。
「ねぇ、ケンタ。あの体験を通して、少しは自由に生きるのも悪くないって思えた?」
その問いに、ケンタはしばらく黙り込み、遠くの波打ち際を眺める。
自分の中で少しずつ変わっていく何かがあったが、言葉にするのは難しかった。
「…うん。少しだけだけど、今まで自分が何に縛られてたのか分かった気がする。リサみたいに周りを気にせず自分の気持ちに素直に生きるって、大事なことなんだなって」
そう呟くと、リサは満足そうに微笑み、ケンタの肩をポンと叩いた。
「その調子!ケンタも少しずつ変わっていけるよ。私も、ケンタのおかげで少しは慎重に周りを見渡すのも悪くないって思えるようになったしね」
その後、二人は元に戻った自分の生活に戻ったが、どこか心の奥にそれぞれの影響が残っていた。
ケンタはリサと過ごした経験から少しずつ自分の殻を破るようになり、友人たちともより率直に接するようになった。
気になっていた女性にも、自分から話しかけることができるようになり、周囲からも「最近、少し変わったね」と言われることが増えた。
一方でリサも、ケンタのように周りに対する気遣いや慎重さを少し意識するようになった。
以前は何も考えずに突っ走っていた彼女も、今では「少しだけ慎重に生きる」ことを心に留めていた。
そして夏が終わり、秋が訪れたある日、二人はまた海辺で再会した。
お互いに変わった部分を感じ取りながらも、どこか懐かしい気持ちで再会を喜んだ。
「ケンタ、元気そうじゃん。なんか少し大人っぽくなったんじゃない?」リサが軽く冗談めかして言うと、ケンタは照れ臭そうに笑って肩をすくめた。
「まぁね。リサのおかげで、少しだけど前に進めた気がするよ。ありがとうな」リサはケンタの言葉に嬉しそうに微笑むと、再び海へと駆け出した。
彼女の背中を見つめるケンタは、ふと心の中で新たな決意を固める。
「次は、自分の力で変わっていけるように頑張るよ」二人が再び波打ち際で遊ぶ姿は、まるで初めて会った時と同じようだった。
しかし、心の奥底ではお互いに影響し合い、新たな一歩を踏み出していた。
ケンタは自由を、リサは慎重さをそれぞれ取り入れ、少しずつ大人になっていく。
そして、その夏の思い出は二人の中で色褪せることなく、これからも彼らの人生に影響を与え続けるだろう。
引っ込み思案だと、急展開には弱そうですよね。
異常事態が起きた時は、多少図太い方が良いのかな?
お互いが影響しあって、良い方向に変われるのは良いですよね。
そういう人と繋がっていきたい。。。
私自身もやっぱり色んな人に影響受けてますから。
さて、もう少ししたら選挙行かないと。
どこに入れるか未だに迷ってます。。。
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