悠人:新入社員、お局様に身体を奪われる。
美咲:お局様、若さと結婚願望を満たそうとしている。
「さあ、行きましょうか。世界で一番不釣り合いで、最高に美しい花嫁さん」
僕の身体をした美咲さんが、快活な声で僕の肩を叩く。
その手は力強く、かつての僕が持っていた「若さ」という自信に満ち溢れていた。
スタジオへ向かうタクシーを待つ道すがら、彼女は僕の身体を借りて、まるで自分の所有物を誇示するかのように悠々と歩を進める。
対照的に、僕はその一歩一歩に、物理的な「自重」と底知れない「恐怖」を感じていた。
「……ま、待ってください……美咲さん……っ」
慣れないヒールの高さが、ぽっちゃりとした足首に容赦ない負担をかける。
歩くたびに、ブラウスの下で豊満な胸がだらしなく揺れ、その重みが僕に「男ではない」という現実を突きつけてくる。
道ゆく人々が、精悍な若者(中身は美咲)と、その後ろを必死についていく、顔を伏せた小太りな熟女(中身は悠人)の奇妙な二人組を、怪訝そうに振り返る。
その視線が、刃物のように僕の自尊心を削り取っていった。
「怖い? 悠人くん。……いいのよ、その弱々しい姿が、今のあなたの『美しさ』なんだから」
美咲さんは立ち止まり、僕の震える手を取って自分の腕に絡めた。
僕の元の、節くれ立った逞しい腕。
その力強さに縋らなければ立っていられない自分。
スタジオに近づくにつれ、建物の白さが、僕を処刑台へ誘う白装束の光のように見えて、僕はただ、美咲さんの意のままに引きずられていくしかなかった。
「前撮りよ。私たちの『記録』を、最高の形で残しておかないと」
美咲さんはそう言って、僕を都内でも指折りのフォトスタジオへ連れ出した。
数人がかりで施されるメイクは、二十代の僕には未知の世界だった。
くすみを消すための厚いファンデーション、目元に深みを与えるアイシャドウ。
鏡を見るたびに、僕は自分でも驚くほど、艶めかしく「手入れされた熟女」へと変貌していく。
「……っ、ふぅ……っ」
そして、ドレスの着付け。
スタジオのスタッフが、僕のふくよかな背中の肉を、強引に、けれど手慣れた仕草でコルセットの中に押し込んでいく。
ワイヤーが肺を圧迫し、横隔膜が押し上げられる。
呼吸をするたびに、ぽっちゃりとした胸元がドレスの縁から溢れそうになり、その重みがずっしりと肩と腰にのしかかった。
男だった僕が、一生着るはずのなかった純白のドレス。
その神聖な白が、僕の——美咲さんの熟れた肌の色と混じり合い、鏡の中に「性別の檻」に閉じ込められた僕を映し出す。
情けないはずなのに、豪華なレースとシルクの重厚な感触に、僕の精神は抗いがたい背徳感と、熱い倒錯感に侵食されていった。
その時、控え室の重いカーテンが開いた。
「——待たせたわね。私の、可愛い花嫁さん」
現れたのは、漆黒のタキシードを完璧に着こなした僕の元の身体だった。
精悍な顔立ち、広い肩幅。
かつての僕が持っていた若々しい肉体は、今や美咲さんという冷徹な魂を宿し、圧倒的な支配者のオーラを放っている。
「……あ、……」
美咲(中身は悠人の身体)は、感嘆のため息をつきながら僕に近づいた。
彼女は自分の——かつての自分の身体であるはずの、ドレス姿の僕を、うっとりと眺めている。
「素晴らしいわ、悠人くん。……見て、私の身体がこんなに『女』として輝いている。あなたのその戸惑った瞳、ドレスの締め付けに耐える浅い吐息……すべてが完璧な私の所有物に見える」
美咲さんは僕の、あの強靭で若々しい腕を差し出してきた。
僕は震える手でその腕に縋り付く。
タキシードの硬い布地の感触と、ドレスの柔らかなシルクの感触が、僕たちの入れ替わった現実を残酷に強調する。
「さあ、撮影を始めましょう。私があなたをエスコートしてあげる。……大丈夫よ、あなたはただ、私にすべてを委ねて、重いドレスの中で震えていればいいの」
フラッシュの光の中で、僕はかつての自分に抱かれ、熟女の肉体として「完成」させられていく感覚に、絶望的な快楽を覚えていた。
それは、悠人という男が完全に消滅し、美咲の「花嫁」として再定義されるための、公開処刑に他ならなかった。

晩婚化も進んでますし、40歳前後くらいなら
別にウェディングドレス着る夢くらい見ても良いかと思います。
場所さえ探せば、男でもウェディングドレス貸してもらえますし
性別関係なくウェディングドレスを夢見ても良いかと。
女装してウェディングドレス着ておくと、相方にも寄り添えますよ♪
重い、暑い、動けない、などなど
体験しておけば、相方のエスコートも上手くいくよ♪
まあ、腕隠さないとかなりの逞しい花嫁になってしまいますがw
ええ、ノースリーブのウェディングドレスも試したんですよ。
でも、肩のところが逞しくて、出すのが結構恥ずかしい。。。
嘘です。過去に出してます。気になるなら過去の話を漁ってください。
あと、昔に書いた話が、今読み返すと残念すぎて
ちょっとテコ入れが必要。リメイク作業を並走中。
しばらくは新作とリメイクが交互になりそう。
次回:2/17 21:00更新


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