目を開けると、見慣れない部屋の天井が視界に入った。
いつもと違う、すっきりした空間。
そして、身体が妙に軽い。
さらに視界の端には――ショートカットの髪がちらついている。
「なんだこれ……?」
声が自分のものじゃない。
軽く高めの声に驚き、急いで手を伸ばすと、映ったのは小さくて華奢な手。
「えっ……?」
立ち上がると、すぐ近くに鏡が見えた。
反射的に前に立ち、映った姿に言葉を失う――そこにいたのは、大学の友人、美咲だった。
「なんで俺が、美咲になってるんだよ……!」
頭を抱える翔太(美咲の身体)は、状況がまったく理解できない。
鏡の前で眉間に皺を寄せたり、頬をつねったりするが、映るのは美咲の顔そのもの。
しばらく混乱していた翔太だったが、ふと頭を撫でる。
「……短っ!」
翔太のいつもの髪型は少し伸びかけたショート。
それとあまり変わらない長さに思わずがっかりする。
「せっかく女になったのに、髪型で楽しむ余地ないじゃん……損した気分。」
けれど、ふと視線が肩越しに映る身体のラインに移る。
明らかに自分のものじゃない――小柄で柔らかそうな身体つき。
そして、自然と手が胸に向かう。
軽く触れてみると、ふわっとした感触が伝わる。
「……うわ、これ……すごい……」
興奮が抑えられない。
鏡越しに見る美咲の身体に、じわじわと自分がその中にいる実感が湧いてきた。
その時、勢いよくドアが開き、自分そっくりの姿――つまり翔太の身体が現れた。
中身は当然、美咲だ。
「翔太! これ、どういうことなの!?」
「美咲……何だよな?」
「そうよ! さっき目が覚めたらお前の部屋にいて、自分の身体がこれだって気づいて……!」
お互いを見つめ合い、言葉を失う二人。
それぞれ鏡に映る姿を確認しながら、困惑は募るばかりだ。
「なぁ、とりあえず落ち着こうぜ。これがどういう状況か分からないけど、冷静に――」
「冷静にって……どうやって!? 私、男になってるんだよ!?」
「いや、俺だって女になってんだぞ!」
美咲(翔太の身体)は鏡を見つめながら、ぎこちない仕草で自分の腕や顔を触っている。
それを見ながら翔太もため息をついた。
「……まぁ、とりあえず、今日はこのまま過ごすしかないかもな。」
しばらくして、翔太は美咲の身体を改めて観察し始めた。
手を広げたり、足を動かしたり、小柄な身体の動きに戸惑いながらも、どこか楽しんでいる様子だ。
美咲はそれに気づき、少し怪訝そうな表情を浮かべる。
「……ちょっと翔太、何やってんの?」
「いや、なんか、すごいなって思って……自分の身体じゃないって、やっぱ新鮮だよな。」
「はぁ……変態みたいなこと言わないでよ。」
「いやいや、そういうんじゃなくてさ! でも、美咲って思ったより華奢なんだな。こうやって動いてみるとよく分かるよ。」
翔太の無邪気な反応に、美咲は半ば呆れたように頭をかく。
けれど、その仕草も翔太の顔でされると妙に違和感があり、彼女自身も戸惑っているようだった。
その後、二人で状況を整理しようと話し合うも、解決策は見つからない。
夜になり、それぞれの部屋で休むことにしたが、翔太は鏡の前から離れられなかった。
「……なんか、変な気分だな。」
鏡越しに美咲の身体を見つめながら、自分がこの身体で動き回っていることを思い出す。
手を胸に当てたり、ウエストを撫でたり、少しずつその身体に馴染む感覚が出てくる。
「これが……女の身体か。」
鏡の中の美咲が微かに笑ったように見えたが、それは翔太自身の仕草だと気づき、苦笑いを浮かべた。
一方、美咲はベッドで腕を組みながら天井を見つめていた。
「翔太……ちゃんと自分の身体、大事にしてよね。」
お互いの違和感を抱えたまま、その夜は静かに更けていった。
今の時代男でも長髪いるし、ショートヘアーの女性もいるし。
その辺も自由ですね。
男の場合は伸ばせない、生えてこない人の割合が多いけど。
私は手入れがめんどいので、2〜3ヶ月に1回バッサリ切ります。
髪型いじりたいならウィッグ被ればいいやと思ってます♪
地毛が薄くなったら、丸坊主にでもしますかね?
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