「まさか…なんでこんなことに…」
彼は鏡に映る自分の姿を見て、頭を抱えた。
黒髪のショートボブ、セーラー服、スカートの裾から伸びる細い足。
何よりも、その表情は――自分の顔じゃない。
—
金曜の夜、職場の同僚である桐原美咲と飲みに行くことになった。
美咲はいつもサバサバした性格で、飲み仲間としても気楽だった。
「ほら、飲め飲めー!こういう日はさ、ストレス発散しなきゃ!」
「お前が言うか、美咲。…でもまぁ、今日は俺も飲むわ」
何杯目か分からない酒が空き、酔いが回る頃。
美咲がついにテーブルに突っ伏して動かなくなった。
「おい、美咲…大丈夫か?」
結局、介抱する羽目になり、彼女の一人暮らしのアパートまで送ることになった。
翌朝――彼が目を覚ますと、すぐに違和感に気づいた。
「ん…あれ、手が…細い?!」
見慣れないスベスベの肌、明らかに華奢な手。
周りを見渡せば、女性らしいインテリアの部屋。
そして枕元には、明らかに自分の寝顔がある。
「うそだろ…入れ替わってる!?」
その瞬間、隣の布団がガバッと動き、もう一人の”自分”――美咲が目を覚ました。
「…んー?……ふぁぁ…あれ、私、何か変?」
「変どころじゃねぇ!!俺の身体だぞ、それ!」
美咲は状況を理解すると、急に笑い出した。
「ウソ、ホントじゃん!ねぇこれ、面白くない?外側から自分見られるなんて、最高じゃん!」
「最高じゃねぇよ、どうすんだよこれ!」
美咲は興奮気味に言い出した。
「ねぇねぇ、ちょっと待って。せっかくだから…」
「なんだよ?」
「コスプレしようよ!私の趣味に付き合って!」
部屋の隅に並んだコスプレ
衣装。その中から、美咲が手に取ったのはセーラー服だった。
「なぁ、美咲…冗談だろ?」
「冗談なわけないじゃん!はい、着て着て!」
抵抗虚しく、セーラー服を着せられる彼(美咲の身体)。
「うわぁ、俺…これ…」
「かわいい!ほら、ポーズも取って!」
「おい、勘弁してくれ…」
最初は顔を真っ赤にしていた彼だが、次第に吹っ切れたようにポーズを取り始める。
「…まぁ、こうなったらやけだな。どうだ、美咲、俺のモデルっぷり」
「すごい、思ってた以上に似合うよ!私の身体、ホントかわいい!」
その後、美咲の提案で次々とコスプレが試され、彼は完全に着せ替え人形状態となった。
「なぁ、これいつまで続けるんだよ…」
「いいじゃん、楽しいし!ほら、お酒でも飲んで落ち着こう!」
気が付けば2人とも飲み直し、再び泥酔してしまった。
目が覚めた時、彼は見慣れた自分の身体に戻っていた。
「…戻った?」
確認するように自分の手を見つめ、慌てて立ち上がる。
「今のうちに帰る!」彼は急いで靴を履き、玄関を飛び出した。
後ろで、美咲の笑い声が聞こえる。「ふふっ、うまくいった。最高の夜だった!」
一人になった美咲は、満足そうに杯を手に取り――
「さて、あいつのセーラー服姿を見るのは楽しかったね!」
また深酒を始めるのだった。
逃げ帰った彼は、自分の部屋で一息ついた。
「なんだよあれ…でも、なんか楽しかった気がする…?」
頭を振って余計な記憶を振り払う。
(もう絶対、あいつと飲む時は気をつけるぞ――)
だが、その表情には少しだけ、楽しそうな笑みが浮かんでいた。
コスプレって結構体つきとか気にする人が多いので
気を使っている人も多いんです。
30過ぎてもセーラー服とか着ようとするわけですから
若い子同様の身体を保とうと、相当鍛えている人もいます。
健康面で気になる人がいるなら、コスプレ出来る体型を目指すとか
割とありなんじゃないですかね?
何キロ落とすではなく、セーラー服を着られる体型まで絞る。
ゴール地点も目で見えるので目標にしやすいかと思います♪
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