夜の帳が下り、街の灯りが一つまた一つと点いていく中、小さなバー「ネコのしっぽ」は今宵も温かな光を放っていた。
店内には、様々な人々が集い、笑い声が絶えない。
しかし、バーテンダーのミナトは、いつものように静かにグラスを磨きながら、店の片隅で一匹の猫と目を交わす。
その猫、名をミーコという。
ミーコは、ミナトがこの店を開いた時からの相棒だ。
毎晩、バーのカウンターで客を出迎え、その日の疲れを癒やす存在となっていた。
「今日も一日、お疲れさま」とミナトは言いながら、ミーコに小さなビールの入ったカップを差し出す。
ミーコはそれを前足で軽く叩き、中の液体を舐め取る。
これが二人の日課であり、この時間が二人にとっての小さな幸せだった。
ある日、店に一人の女性が訪れた。
彼女は、遠く離れた町からやってきた旅人で、その日は特に疲れている様子だった。
ミナトはいつものように彼女に飲み物を提供し、ミーコはいつものように彼女の隣に座った。
女性はミーコの温もりに安堵し、少しずつ心を開いていった。
彼女は自分の旅の話を始め、ミナトとミーコは静かに耳を傾ける。
話は夜遅くまで続き、三人はまるで古くからの友人のように笑い合った。
そして、別れの時が来た。
女性はミーコに向かって
「ありがとう、あなたのおかげで心が軽くなったわ」
と言い、ミナトには
「このバーは特別な場所ね。また戻ってくるわ」
と約束した。
女性が去った後、ミナトはミーコを見つめ、
「また一人、友達ができたな」
と微笑んだ。
ミーコはその言葉に応えるように、小さく鳴いた。
それからというもの、女性は約束通りに何度も「ネコのしっぽ」を訪れるようになった。
そして、彼女だけでなく、多くの人々がこのバーの常連となり、ミーコとの乾杯を楽しみにしていた。
「ネコのしっぽ」は、ただのバーではなく、人々の心を癒やし、繋げる場所となった。
ミナトとミーコは、これからも変わらず、訪れる人々に小さな幸せを提供し続けるだろう。
そして、今宵も「ネコのしっぽ」は、新たな物語を紡ぎ始めるのだった。
実際にこんなの出てきたらぼったくりバーを疑いそう。
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