夜も更けた時間、和食割烹「青梅」は常連客で賑わいを見せていた。
この店は静かで品の良い雰囲気を売りにしているが、時折訪れる厄介な客に店員たちは頭を悩ませていた。
その日、店に現れたのは大手企業の重役である五十嵐光一(いがらしこういち)だった。
彼は頻繁にこの店を訪れており、店員たちにとっては厄介な存在だった。
特に、若い女性店員に対してセクハラまがいの発言や行動が目立ち、店側も内心では対応に苦慮していた。
「今日も相変わらず綺麗だね、琴音ちゃん。」
五十嵐はにやけながら、若い女性店員の琴音に声をかけた。
琴音は青梅で住み込みで働いている店員の一人で、控えめな性格だが、その美貌が目立つ。
「ありがとうございます。」
琴音は愛想笑いを浮かべながら、軽く頭を下げた。
しかし、心の中ではため息をついている。
彼のような客に対して公に無礼を働けば店に迷惑がかかる。
だから、琴音はいつも我慢する振りをしていた。
五十嵐はさらに大胆になり、彼女の手元に触れようとした。
だが、琴音は素早く身を引き、丁寧な声で提案した。
「五十嵐様、よろしければ特別なお部屋でおもてなしさせていただきます。」
「特別なお部屋?」五十嵐の目が興味深そうに光る。「それは楽しみだな。」
琴音に案内された五十嵐は、奥まった静かな部屋に通された。
部屋には古風な調度品が並び、不思議な雰囲気が漂っている。
「こちらで少々お待ちください。」琴音は静かに部屋の襖を閉めた。
部屋に一人取り残された五十嵐は、まるで夢のような心地よい香りに包まれた。
それは彼の意識を次第に遠ざけていく。
気がつくと、五十嵐は自分の体に異変を感じた。
視界が低くなり、目の前に映る手は自分のものではない。
「なんだ、これは……?」彼は声を上げたが、その声は女性のものだった。
驚いて鏡を見ると、そこに映っていたのは琴音の姿だった。
「どういうことだ!」五十嵐がパニックになっていると、襖が開き、五十嵐の体に入った琴音が現れた。
「驚きましたか?」五十嵐の姿で話す琴音が冷ややかに笑った。
「あなたの体や立場は私が頂きました。その体はお好きにどうぞ。」琴音が冷静に語りかける。
「あなたたちは、この店で次のセクハラ客が来るまで働くんです。」
五十嵐は訳が分からず、ただ震えた声で「戻してくれ!」と叫ぶが、琴音は首を横に振る。
「いいえ、あなたにはきっちり分かってもらう必要があります。この店で私が何を経験してきたかを。」
琴音(五十嵐の体に入った姿)はさらに告げた。
「この体のまま、住み込みで働いてもらいます。二度と元の生活には戻れませんよ。」
それから数週間後、琴音は五十嵐として元気に会社に勤務していた。
その明るい顔は、以前とはまるで別人のようだと評判だった。
一方、五十嵐(琴音の姿)は、慣れない仕事に戸惑いながらも逃げる術を見つけられずにいた。
「今度誰かが代わりになるまで、あなたにはここで働いてもらいます。」琴音は五十嵐に冷たく告げていた。
今回はイラストがかなりアニメ調。
着物で働いてる女の人っていいですよね。
セクハラはしませんが、見惚れてしまいます。
まあ、手を出したら社会的地位は失いますからねえ。。。
こんな形でなくなるとは思わないでしょうけど。
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