
「はぁ……」
ため息は、無為な時間に対する精神的な支払いのようなものだった。
健太、22歳。
大学卒業後、明確な目標を見つけられずにフリーターとしてコンビニで働く日々。
彼の問題は、「失うものがない」ことではなく、むしろ「持っているものに気づかない」ことだった。
スマホのSNSには、成功した友人たちの投稿が流れてくる。彼らの投稿は、健太の心を焦がす。
「彼らの成功は、俺の『可能性の放棄』を毎日突きつけてくる」
健太は、自分の人生を「退屈という名の牢獄」に閉じ込めていた。
人付き合いを避け、挑戦を恐れ、ただ現状維持に甘んじる。
深夜の休憩時間、目に飛び込んできたのは、驚くほどの高給を謳う「特殊アルバイト」の求人広告だった。
「誰にも会わなくて良い」という隔離の条件が、人見知りの健太の背中を押した。
「失うものがないからこそ、『経験』という名の資産を投資してみよう」
健太は、人生における「賭け」の価値を、この時初めて感じながら応募ボタンを押した。
翌日、健太が案内されたのは、洗練された高級住宅街の一軒家。
そこに現れたのは、早乙女 智子、52歳。
その肉体と美意識は、年輪を重ねた者の「努力と自制の証」として輝いていた。
「あなたが、森山健太さんね」
智子の声は、低く、威圧的でありながら、どこか熟成されたワインのような色気があった。
面接中、智子は健太に鋭い質問を投げかける。
「あなたの若さを、どう思う?」
「特に何も……。ただ、体力があるくらいで」
健太はしどろもどろになる。
智子は微笑んだ。
その微笑みには、長年の経験から来る優越感と、羨望が入り混じっていた。
「体力は、最も過小評価されている資産よ。若さとは、回復力であり、挑戦する回数を無限に許される『時間』のこと。私たちは、その時間を失うことで、すべてを失う」
彼女の言葉は、健太の心に深く刺さった。
自分が持っているものを、いかに粗末に扱っていたか。
智子は、高額な報酬と引き換えに、「しばらくの間、外出禁止。私の指示に絶対に従うこと」という条件を突きつけた。
健太は、その異常な魅力と、退屈からの解放という報酬に負け、契約を結んだ。
業務初日。
健太は女性もののメイド服に着替えさせられ、智子に「猫のポーズ」をとるよう要求された。
「恥ずかしがらないことよ、健太くん。『自己表現』とは、他人の目を気にせず、自分の内面を形にすること。あなたは今、私の『美意識の鏡』としてここに立っているのよ」
健太は顔を赤くしながらも、智子の要求に応じた。
智子はシャッターを切りながら、健太の肉体に潜む瑞々しい若さを、貪るように記録していた。
夜、智子が健太の額に塗りつけた香油は、健太の意識を深い眠りへと誘った。
翌朝。健太は、52歳の熟女、早乙女智子の肉体で目覚めた。
「ひっ……!」
艶やかな智子の声が、健太の喉から響く。
鏡に映る自分は、年を重ねた肌と、女性の成熟した曲線を持つ身体。
隣で目覚めた智子(健太)は、健太の若くしなやかな肉体で、優雅に伸びをした。
「あら、健太くん。おはよう。さあ、今日からあなたは私のメイド、『トモエ』よ」
智子(健太)は、楽しそうに宣告した。
「まずは、その身体で掃除をしなさい。そして、トモエ。あなたにこの身体で、最も重要なことを学んでもらうわ」
健太(智子)は、渋々掃除機を手に取った。たった数分の掃除で、腕に疲労感が走る。
「くっ……重い……」
「そうよ。それが老い。若い頃には意識もしなかった、『重力』と『時間の積み重ね』の代償よ」
智子(健太)は、健太の肉体で優雅に紅茶を飲みながら言った。
「若さとは、『回復力』のこと。この身体には、それがもうない。あなたは、この身体を通して、自分の回復力という資産の価値を、身をもって知るのよ」
健太(智子)は、女性の身体の扱いに戸惑い、力任せに動けばすぐに疲労が溜まることを学んだ。
しかし、同時に、智子の肉体に宿る年長者としての優雅さや、長年培われた美意識も感じ始めていた。
これは、自分の身体では決して得られなかった「経験」だった。
(この身体は、確かに歳をとっている。でも、この深みと知性は、俺の若さにはないものだ……)
健太は、熟女の肉体に入ったことで、自分の若さを客観視し、そして他者の人生に敬意を払うという、人生における最も重要なレッスンを受け始めたのだった。

退屈って環境ではなくて、自分が空っぽのときに感じられるのかな?
現状維持って楽ですけど、その先は見つからないんですよね。
健康も体力も、若いうちは当たり前すぎて意識されない資源なんです。
その価値は、失った時に初めて気づきます。
とはいえ、歳をとったらまた別の女装の楽しみ方がありますけどね♪
体力は無くなりますが、得られるものも大きいですから!



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