大学生のリュウタは、ふとしたきっかけで町中にある小さなメイド喫茶「アンティーク・ハート」に足を踏み入れた。
彼は普段、メイド喫茶やロリータファッションには縁がない生活を送っていたが、その日の彼は、何かに引き寄せられるように店内に吸い込まれた。
入口をくぐると、目に入ったのは一枚の大きな鏡。周りには「願いが叶う鏡」と書かれたプレートが飾られていた。
「へえ、こんな鏡があるんだ…」
軽い気持ちで鏡を見つめ、リュウタは冗談半分で心の中で願った。
「一度だけでいいから、女性の気持ちを知りたい」その瞬間、鏡がぼんやりと輝き、彼は奇妙な感覚に包まれた。
次に目を開けたとき、彼は驚愕した。鏡に映っているのは自分ではなく、可愛らしいメイド服を着た女の子だったのだ。
リュウタは目をこすり、もう一度鏡を見直した。
しかし、映っているのは間違いなく自分ではない。
真っ白なフリルとリボンがあしらわれた、まるでお人形のようなメイド服を着た女の子が、そこに立っていた。
驚きと戸惑いで頭が真っ白になる。
「これは…何だ…?」
声も自分のものとはまるで違う。
高くて、か細い声が口から漏れる。
その声を聞いた瞬間、現実が信じられなくなり、体中に鳥肌が立った。
自分の両手を見下ろすと、細くて柔らかい手が見える。
指先には軽くピンク色のマニキュアが施されていた。
「まさか、本当に…?」
頭の中で「女の子になっている」という言葉が響く。
まさかこんなことが起こるなんて…。
リュウタは軽い冗談のつもりで願っただけなのに、その願いが本当に叶ってしまったらしい。
「お客様…あ、いや、リュウタちゃん?」
突然、背後から声が聞こえ、振り向くと、メイド姿の女性が立っていた。
店長と思しきその女性は、にこやかに微笑んでいる。
「あ、はい…?」
戸惑いながらも返事をするリュウタ。
その声がまるで別人のものだと改めて感じ、違和感に身震いする。
「リュウタちゃん、あなたにはしばらくここで働いてもらうことになるわね」
「えっ、ちょっと待ってください!どういうことですか?」
必死に訴えるリュウタだったが、店長はまるで聞いていないかのように微笑んで、言葉を続けた。
「このお店に入った人は、みんなが一度体験してみたいと思ってることを実現できるの。でも、それには…ある程度の『奉仕』が必要なのよ。だから、あなたもここで働いてもらうわ。期間は…そうね、気が済むまでかしら?」
店長の言葉に恐怖を感じたリュウタは、何とか元に戻れる方法を探ろうとする。
しかし、店長は「戻りたいならまずは仕事に集中してね」と、笑顔で言い放った。
その日から、リュウタのメイド喫茶での生活が始まった。
最初はただの悪夢のようだったが、次第に彼はメイドとしての役割に慣れ始めた。
フリフリの衣装に身を包み、愛想良く振る舞い、客に「ご主人様」と呼びかける。
それが当たり前の日常になっていく。
「リュウタちゃん、今日も可愛いね!」「本当に似合ってるよ!」
店に訪れる常連客たちは、そんな彼を愛おしそうに見つめ、褒めてくれる。
リュウタは最初こそ恥ずかしさと嫌悪感に苛まれたが、毎日のように褒められるうちに少しずつその感覚に慣れ、いや、むしろ喜びを感じ始めていた。
「これが…女の子としての生活なのか…?」
日が経つごとに、リュウタは自分が本当に「リュウタ」だったのか、疑問に思うようになってきた。
鏡に映る自分は間違いなく可愛らしい少女であり、動きや仕草も次第に女の子らしくなってきている。
ある日、リュウタは店長に再び尋ねた。
「…店長、そろそろ元に戻してもらえませんか?」
すると、店長は不思議そうに首をかしげた。
「リュウタちゃん、あなたはもうすっかりこの生活に馴染んでるじゃない?それに、戻る理由なんてもうないでしょう?」
「そ、そんなことは…!僕は元の自分に戻りたいんです!」
必死に訴えるリュウタに、店長は微笑みながら答えた。
「でもね、リュウタちゃん、あの鏡にお願いした時点で、あなたの願いは叶っているのよ。そして、この世界では、願いが叶った後に戻る必要はないの」
その言葉に、リュウタの中で何かが崩れたような気がした。
自分の願いが叶ったということは、もう元には戻れないということなのか?
それから数週間が経ち、リュウタは「アンティーク・ハート」の常連メイドとなった。
最初はぎこちなく思っていたメイドの生活も、今ではすっかり自然にこなせるようになっている。
リュウタだった「彼女」は、今では自分の名前すらも思い出せないような気がしていた。
「おかえりなさいませ、ご主人様!」
満面の笑みでお客様を迎える自分。
もはや、その笑顔に違和感はなく、むしろ自然で温かいものだと感じるようになっていた。
そんなある日、ふと彼女は鏡に映った自分を見つめて思った。
「私は…誰なんだろう?」その答えを知ることもなく、彼女は今日も「アンティーク・ハート」で微笑み続けるのだった。
こうして、リュウタは完全に「リュウタ」ではなくなり、メイド喫茶の一員として新たな生活を送り続けることとなった。
もはや元に戻る道はなく、彼女はこの世界で「新しい自分」として生きていくしかないのだろう。
女性になって、メイドになっても名前変わらないのか。。。
これメイド服じゃないですけどね。
まあ、不思議な力なんて無くてもロリータは着れますが。
女性の気持ちは多分わからないですね。。。
メイドとして働いても変わらないのでは?
元に戻れるなら女性の気持ちも体験出来て、生かせるんですけどね。。。
戻れないならあんまり意味ないな。男の頃のこと忘れてるし。
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