私はカメラマンとして、振袖を着た人物の写真を撮る仕事をしている。
振袖は日本の伝統的な衣装で、成人式や結婚式などの特別な日に着るものだ。
私は振袖の美しさや人物の表情を捉えるのが好きだった。
しかし、最近は仕事に飽きてきていた。
同じようなポーズや背景で撮る写真は、どれも同じに見えてしまう。
私はもっと自由に、もっと個性的に、もっと創造的に撮りたいと思っていた。
そんなある日、私は新しい依頼を受けた。
依頼主は、振袖を着た自分の写真を撮ってほしいと言ってきた。
しかし、その人は顔を隠したいと言った。
顔を隠すというのは珍しい要望だった。
私は興味を持った。
顔を隠す理由は何だろうか。
どんな振袖を着るのだろうか。
どんな写真が撮れるのだろうか。
依頼主との待ち合わせ場所は、私のスタジオではなく、公園だった。
私はカメラと三脚を持って、公園に向かった。
公園に着くと、私はすぐに依頼主を見つけた。
白地に赤と黒の模様があしらわれた振袖を着ていた。
帯は前で結ばれていて、花の飾りがついていた。
背景は抽象的で芸術的な雰囲気で、淡い色合いが穏やかな印象を与えた。
顔は、白い布で覆われていた。
私は依頼主に挨拶した。
「こんにちは、カメラマンの○○です。よろしくお願いします」
依頼主は白い布越しに微笑んだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします。私は△△と言います」
私は依頼主の名前を聞いても、性別や年齢は分からなかった。
私は依頼主に尋ねた。
「顔を隠すのはどうしてですか?」
依頼主は答えた。
「私は、自分の顔が嫌いなんです。自分の顔を見ると、自分が嫌になります。でも、振袖は好きなんです。振袖を着ると、自分が変わったように感じます。だから、振袖を着て写真を撮りたいんです。でも、顔は見せたくないんです。だから、顔を隠してください」
私は依頼主の言葉に驚いた。
自分の顔が嫌いだなんて、どうしてそんなことを言うのだろうか。
私は依頼主の顔を見たことがないが、きっと素敵な顔をしているに違いない。
私は依頼主に言った。
「そんなことはありませんよ。自分の顔は自分で判断できないものです。他人から見たら、あなたはとても魅力的な人に見えるかもしれませんよ。顔を隠さなくてもいいんじゃないですか?」
依頼主は首を振った。
「いいえ、だめです。私は自分の顔を見せたくないんです。どうか、顔を隠して撮ってください。それが私の願いです」
私は依頼主の願いを尊重することにした。
私は依頼主に言った。
「わかりました。では、顔を隠したままで撮りましょう。でも、その代わりに、もう一つお願いがあります」
依頼主は聞いた。
「何ですか?」
私は言った。
「私は、あなたの個性や感情を写真に表現したいんです。だから、顔を隠しても、あなたの心を見せてください。あなたがどんな人なのか、あなたがどう感じているのか、あなたが何を伝えたいのか、私に教えてください。それが私の願いです」
依頼主は少し考えた後、頷いた。
「わかりました。私も、あなたに自分の心を見せたいんです。それが私の願いです」
私と依頼主は、写真撮影を始めた。
私は依頼主に、色々なポーズや角度や表情を試してもらった。
依頼主は、白い布で顔を隠しながら、私の指示に従って動いた。
私はカメラを構えながら、依頼主の姿を見つめた。
依頼主の顔は見えなかったが、依頼主の心は見えた。
依願主は、振袖を着ていることに喜びや誇りや自信を感じていた。
依頼主は、自分の顔を隠していることに恥ずかしさや悲しさや不安を感じていた。
依頼主は、私に自分の心を見せたいということに期待や緊張や勇気を感じていた。
私はカメラを通して、依頼主の心を捉えた。
私はカメラを通して、依頼主の美しさを捉えた。
私はカメラを通して、依頼主の物語を捉えた。
私たちは、公園で数時間撮影を続けた。
私たちは、言葉よりも写真で会話をした。
私たちは、顔を見なくても心で繋がった。
撮影が終わると、私は依頼主に写真を見せた。
依頼主は白い布を外して、写真を見た。
依頼主は、自分の写真を見て、涙を流した。
三が日は振袖ネタでいいかなと思ってる。
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