「ねぇ、入れ替わってみない？」彼女のナツミが、突然切り出した言葉に俺、タクヤは一瞬耳を疑った。
フリーターの彼女は、いつも柔らかい口調で、ほとんど自分の意思を押し通すことはない。
それなのに、今日だけは違った。
「何だよそれ、急にどうしたんだ？」俺が驚いた声を上げると、ナツミは目を輝かせながら言葉を続けた。
「実はね、体を入れ替える方法を見つけたの！知り合いの占い師から聞いたんだけど、簡単にできるんだって」
そんな話、普通は信じられない。
けれど、彼女は真剣だった。顔を近づけてきて、耳元でささやくように言った。
「タクヤ、私も一度あんたみたいにがっつり働いてみたいの。仕事に打ち込んで、汗をかくってどんな感じなのか知りたいんだ」
俺は、少し考え込んだ。
確かに、ナツミは普段、家事やパートをしながら、時々休みを取っている。
対して、俺は毎日会社に行き、デスクワークに追われる生活だ。
彼女が言うような「ガッツリ働く」っていう感覚は、たしかにナツミには経験が少ないかもしれない。
「まぁ…でも、体を入れ替えるなんて、本当にできるのか？」疑念を挟む俺に、ナツミは自信満々に頷いた。
「できる！それに、ちょっとの間だから！どう？やってみない？」彼女の押しに負けて、俺は結局了承した。
こういう話は冗談半分で受け止めるべきだろうけど、もし本当にできるなら、面白いかもしれない。
その夜、俺たちはナツミが聞いてきたという「儀式」を行った。
信じ難いことだが、目を覚ました瞬間、俺はナツミの体で目を覚ました。
自分の体がベッドに横たわっているのを見て、驚愕した。
「すごい、本当に入れ替わってる…！」ナツミは自分の体を見下ろして満足そうに笑っている。
俺は、信じられないまま、彼女の体に触れ、髪をかき上げてみる。
柔らかく、細い髪が指に絡まり、女としての自分を実感する。
「それじゃ、私は出かけてくるね！体を動かしたいし、男の体で外に出るのが楽しみ！」
ナツミはそう言って、俺の体で外に飛び出していった。
何をするつもりだ…と心配しながらも、俺はしばらくの間彼女の部屋に残ることにした。
ナツミのクローゼットを開けてみると、いろんな服が並んでいる。
柔らかいニットやスカート、カーディガン…。
普段俺が着ないものばかりだが、体は自然とそれらに手を伸ばしていた。
「せっかくだし、少し試してみようかな…」鏡の前で、彼女の服を着た自分を見て、驚きとともに少しだけ興奮が湧き上がってきた。
普段着ないような可愛らしい服を着た自分。
女としての自分を楽しむことができるなんて、想像もしていなかった。
その後、ファッションショーのように次々と彼女の服を試してみる。
ふわりと広がるスカート、やわらかいニットの感触、ヒールの履き心地…。
女としての自分に完全に浸り、時間が経つのも忘れていた。
次の日、ナツミは俺の会社へ向かい、俺は彼女のパートに向かうことになった。
彼女の体でパートをすることに最初は抵抗があったが、これも彼女の望みだ。
やってみよう、と覚悟を決めた。
「今日はよろしくお願いします！」カフェのバイト先に到着すると、店長や他のスタッフが優しく声をかけてくれる。
彼女の同僚たちは、皆気さくで、温かい雰囲気だ。
けれど、俺にとってはすべてが初めての経験。
お皿を洗うこと一つも、普段やり慣れていないせいで、ぎこちない手つきになる。
「す、すみません！失敗しちゃって…」何度か注文をミスしたり、トレーを落としたりしてしまい、店長から軽く注意を受けた。
普段の仕事では滅多に起こらない失敗だ。
ナツミがこの仕事を普通にこなしていたことを思うと、彼女の頑張りが身に染みる。
その日の昼過ぎ、突然激しい腹痛が襲ってきた。
何だこれは…？とトイレに駆け込み、恐る恐る確認すると、生理が始まっていた。
「まじか…このタイミングで…」体調不良と戦いながら、残りのシフトをどうにか終えた俺。
帰り道、フラフラになりながらナツミの家に戻った。
一方、ナツミはというと、俺の仕事が予想以上に厳しいと感じていたらしい。
オフィスでの長時間のデスクワークや、上司からの指示に追われる日々。
家に帰ってきた彼女は、げんなりした表情を浮かべていた。
「タクヤ、あんたの仕事、想像以上にきついわ…」彼女は俺の体でソファに倒れ込み、疲れ切った声でそう言った。
「お互い、元の仕事がどれだけ大変か、やっと分かったな…」俺は彼女の体で微笑みながら、彼女の疲れを労った。
数日後、俺たちは元に戻る準備を始めた。
お互いにお互いの仕事を経験し、体の苦労を知った今、それぞれの役割を尊重できるようになった。
しかし、その夜、ナツミはこう言った。
「ねぇ、今夜は入れ替わったままゆっくり過ごしてみない？お互いの良いところを知りたいから…」
俺は少し戸惑ったが、結局彼女の提案に賛成した。
そうして、俺たちは一夜を交換したまま過ごしたのだった。
あんまり重い話にならず、さらっとしたお話で。
話だけだとどうしても分からないから、こういう体験してみたいですね。
男の身としては、知識としてはあっても、育児や生理の辛さは分からないし。
割と早めに起きてる身としては、低血圧で起きられないのもよく分からん。
女装はある意味女性の楽しいとこだけみて遊んでいるので
お得な趣味かもしれないですね。
コメント