吉田拓也は、普通の高校生だ。
毎朝同じルーチンをこなし、学校では友達とバカ話をして過ごす。
しかし、彼の平凡な日常はある日突然、完全に崩れ去ることになる。
クラスメイトの鈴木花は、誰もが認める美少女で、少しミステリアスな雰囲気を持っている。
拓也は、彼女と同じクラスにいることを意識していたが、特に接点はなかった。
彼女はどこか冷たく、距離を感じさせる存在だったからだ。
ある日の放課後、拓也は花に突然呼び止められた。
「ねぇ、吉田くん。少し話せる?」
驚いた拓也は、戸惑いながらも頷いた。
彼女はクラスでほとんど誰とも話さないタイプだったため、彼女が自分に声をかけてくること自体が不思議だった。
「私、最近ちょっと困っていることがあるの…。」
花は俯きながら、か細い声で話し始めた。
拓也はどう返事をしていいか分からず、ただ黙って聞いていた。
「お願い、助けてくれないかな…?」
彼女の声には、何か隠された意図が感じられたが、拓也はその時それを深く考えなかった。
彼は彼女に力を貸すことを快諾した。
その夜、拓也は不思議な夢を見た。
夢の中で彼は、自分の体ではなく、誰か他の人の体の中にいることに気付いた。
鏡に映った顔は、自分のものではなく――鈴木花の顔だった。
目が覚めた時、拓也は自分がベッドに横たわっていることを確認した。
しかし、何かが違う。
手を見つめると、それは細く、華奢な手だった。
彼は驚いて飛び起き、周囲を見渡した。
周りにある家具や壁紙が見慣れないものばかりで、まるで別の世界に迷い込んだかのようだった。
鏡を見ると、そこに映っていたのは鈴木花の顔。
拓也はパニックに陥り、叫び声を上げた。しかし、その声も花のものだった。
「なんで…なんで俺が…彼女の体に…?」
何が起こっているのか全く理解できなかった拓也は、花の家の中を探索し始めた。
そして、花のスマートフォンを見つけ、そこで彼女の日記を見つけた。
日記には、彼女が秘めた力についての記述があった。
「私は、この力を使って、自分が望む通りの人生を手に入れるの…。」
それを読んだ瞬間、拓也は全てを悟った。
花は自分の体を使って何かを企んでいる。
彼はその場から逃げ出したくなったが、どうすることもできなかった。
学校に行くと、そこには自分の体を持った花がいた。彼女は微笑みながら近づいてきた。
「おはよう、拓也君。調子はどう?」
彼女の言葉に、拓也は何も返せなかった。
彼はこの異常な状況に翻弄され、どうすれば元に戻れるのかも分からず、ただ彼女に従うしかなかった。
花は、拓也を自分の意のままに操るように行動し始めた。
彼女は自分の体を使って、学校での振る舞いや、人との接し方を変えていった。
拓也は、彼女が何を考えているのか全く分からず、ただその変化を受け入れるしかなかった。
数日後、拓也はついに耐えられなくなり、花に詰め寄った。
「どうして俺をこんな目に合わせるんだ!?俺の体を返してくれ!」
しかし、花はただ冷たく笑った。
「返す?そんな簡単にいくと思っているの?この力を手に入れたからには、私は私の望む通りの人生を歩むの。あなたには、それに協力してもらうわ。」
花の言葉に、拓也は絶望感に打ちひしがれた。
彼女の思惑は、自分が考えていたよりもはるかに深いところにあるようだった。
やがて、拓也は少しずつ、花の体での生活に慣れていった。
しかし、彼の心の中には常に恐怖と不安が付きまとっていた。
彼女の力がどれほど強力で、どれほど危険なものなのかを知った今、拓也にはもう、元の生活に戻れる保証などなかった。
そして、その日もまた、花は自分の体で微笑みながら拓也に近づいてきた。
「さあ、今日も楽しんでいきましょう。私たちの新しい人生を。」
拓也の目には、彼女の笑顔が冷酷なものにしか映らなかった。
昔のイラストを再掲するついでに、このイラストのショートストーリーを作ってみた。
こっちのタッチも嫌いじゃないけど、作るのに時間がかかるのと
上手く調整出来ないのが難点でしたね。
たまには使ってもいいんですが。
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