「は……？ うそだろ、俺が女装？」
放課後の教室で、俺――高見沢 悠斗は絶句した。
目の前には、俺のテストの点数を超え、学年一位の座をかっさらった早乙女 葵が、ニヤニヤとした笑みを浮かべている。
ことの発端は、お互いのプライドを賭けた中間テストの勝負だ。
学年一位を取った方が、相手に何でも一つ罰ゲームを課せる。
俺は数学で勝負に出たが、まさかの葵が苦手としていたはずの現代文で大逆転。
結果、俺の完敗だった。
「はい、約束は約束だよ、悠斗くん？ 罰ゲームはね……フフ、一週間、私の『妹』になってもらうこと」
「妹って、まさか……」
「女装よ、もちろん。しかもただの女装じゃない。一週間、私のセーラー服を着て登下校。そして……」
葵は耳元に顔を寄せ、悪魔のように囁いた。
「最終日には、この格好で二人きりで夜の公園を散歩してもらう」
ゾッとした。夜の公園、セーラー服の男。
想像するだけで背筋が凍る。しかし、言質は取られた。
「……わかったよ。やればいいんだろ、やれば」
俺の精いっぱいの虚勢に、葵は満足そうに微笑んだ。
翌日の放課後。人気のない昇降口の陰で、葵が大きな紙袋を差し出してきた。
「はい、これ」
「……何だよ、これ」
中を覗き込むと、紺色のセーラー服一式。
スカートはプリーツが綺麗な、いかにも女子高生のものだ。
そして、ふわふわとした長い髪のウィッグと、小さな箱。
「セーラー服とウィッグは当然として……この箱は？」
「うふふ、見てのお楽しみ」
葵の含みのある笑顔に、嫌な予感が全身を走る。
箱を開けて、俺は完全に固まった。
中に入っていたのは、白いブラジャーと、フリル付きのショーツ。
「え……下着まであんの？」
「当たり前でしょ？ 完璧な『妹』になるんだから。サイズは適当に私の予備を用意したけど……もしきつかったら言ってね、買い直すから」
悪趣味にも程がある。
俺の抵抗も虚しく、葵は俺を誰も使っていない古い部室へと引きずり込んだ。
「さあ、着替えて着替えて！ 私が手伝ってあげる」
「て、手伝いはいい！ 自分でやる！」
そうは言ったものの、ブラジャーなどというものは、どうやって身につければいいのか皆目見当がつかない。
葵は慣れた手つきで俺のシャツを脱がせ、ブラジャーを手に取った。
「ほら、前屈みになって……そう、それで胸の下でカチッとね」
冷たい金具が背中で合わさる感触に、ゾクッとした。
鏡に映る自分は、まだ上半身だけなのに、まるで別人に見える。
そして、ショーツ。葵は一切の躊躇なく、俺のズボンを脱がせにかかった。
「ちょ、おい！ それは自分でやる！」
「えー、いいじゃん。別に見てないって」
そう言いながら、葵は俺の足首から制服のズボンを引き抜いた。
俺は慌てて残ったシャツで股間を隠そうとする。
葵はそんな俺の様子を見て、クスクスと笑った。
「大丈夫だって、恥ずかしがらなくても。ほら、早く履いて」
差し出されたフリル付きのショーツを、俺は震える手で身につけた。
自分の肌に、女性物の下着が触れているという事実に、強烈な背徳感が押し寄せてくる。
そして、セーラー服。
スカートに足を通し、上着を羽織る。
最後にウィッグを被せられ、鏡に映ったのは、少し戸惑った表情をした、見知らぬ美少女だった。
「……すげぇな」
思わず声が漏れた。自分でも信じられない変貌ぶりだ。
「完璧！ 私の妹にピッタリだよ、悠斗ちゃん！」
葵は俺の手を取り、ウキウキとした様子で部室を出た。
「さて、じゃあ、お散歩に行こうか」
時間は夜七時。校門を出た俺たちは、冒頭の約束通り、夜の公園へと向かっていた。
（最悪だ。なんで俺がこんな格好で、しかも下着まで……）
セーラー服の下、葵が選んだ白いレースのショーツが、俺の肌に食い込んでいる。
そして、そのショーツの存在を意識すればするほど、俺の『男性の体』は妙な反応を示し始めていた。
（やめろ！ 何反応してんだ！ これは罰ゲームだぞ！）
脳内の理性が警鐘を鳴らす。
しかし、女性の繊細な下着が自分の体を包んでいるという非日常的な状況は、羞恥心と相まって、抑えがたい興奮を呼び起こしていた。
「ねえ、悠斗ちゃん、どうしたの？ 顔が赤いよ？」
葵が覗き込んできて、俺は慌てて顔を背けた。
「なんでもねえよ！ ちょっと暑いだけだ！」
俺はいつものぶっきらぼうな口調で答えたが、葵はそれを指摘しない。
むしろ、その男らしい話し方が、セーラー服姿とのギャップを生んで、彼女をさらに楽しませているようだった。
「ふふ、まあいいや。ねえ、そこのアイス屋さん寄ってこうよ」
「は？ この格好でか？」
「だーめ、拒否権なし！ ほら、行くよ、妹ちゃん！」
葵は俺の手を引っ張り、人通りの多い商店街の方へと歩き出した。
（くそっ、このままじゃ俺だけが惨めな思いをするだけだ。仕返し、仕返しをしてやる……！）
俺の脳裏には、いつか葵に特大の恥をかかせてやるという復讐計画がグルグルと回っていた。
しかし、アイス屋の前で立ち止まり、ショーケースに並んだ色とりどりのアイスを見ているうちに、一つの考えが頭をよぎった。
（待てよ。この状況、俺だけが損してるのか？）
俺は鏡で見た、女装した自分の顔を思い出す。
決して悪くない、むしろ、かなり可愛い。
「悠斗ちゃん、バニラとチョコ、どっちにする？」
「……じゃあ、チョコで」
アイスを受け取った俺は、もう一度、公園の街灯に照らされた自分の姿を見た。
夜の闇、セーラー服、そしてアイス。
その光景は、まるで俺が本当に葵の妹であるかのような、奇妙な日常の風景になっていた。
「ねえ、この格好、意外と悪くないでしょ？」
葵が俺の気持ちを見透かしたように言った。
「うるせえよ。……でもまあ、アイスは美味いな」
俺は開き直った。どうせ一週間は続くのだ。
いつまでも抵抗して惨めな思いをするより、この『非日常』を逆手に取って、楽しんでやる方がマシだ。
もちろん、仕返しは忘れないが。
（見てろよ、葵。一週間後、俺は最高の妹になって、お前が想像もしない方法で、この罰ゲームを面白おかしく終わらせてやる）
俺は心の中でそう誓い、街灯の下でアイスを舐めながら、微かに残る羞恥心と、体の奥底でくすぶる奇妙な興奮を、夜の闇に溶かしていくのだった。
元の写真にプロンプトを追加してたらかなり変わっちゃった。
学校でも女子の制服借りてふざけてた人はいましたが
ウィッグ被ったりはしてなかったな。
当然下着まで借りたりはしてないですね。
今ならそのくらいありえる？
私は自前で準備してるけど、借りれるなら拝借します。
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