全身が震える。
鏡に映るのは、ずっと夢見ていた姿——可憐な少女の姿だった。
「やっぱり……最高だ」
黒髪の少年、直人は自分の変身した姿に見惚れていた。
赤みがかったウィッグをかぶり、ドット柄の可愛らしいワンピースをまとっている。
袖のフリル、黒いリボンの装飾、そして繊細なレースのスカート。
これほど完璧なコーディネートをするのは初めてだった。
黒のニーソックスにローファー。
メイクもバッチリで、ネイルまで綺麗に塗られている。
彼は鏡の前でクルリと回り、スカートのふわりと広がる感覚に胸を躍らせた。
(今日は外に出よう……)
これまで、女装はもっぱら家の中だけの楽しみだった。
しかし今日は違う。勇気を出して、一歩踏み出すことを決意した。
ドキドキしながら街を歩く。
周囲の視線が気になるが、誰も彼を”男”だとは思っていないようだった。
「ふふっ……私、本当に女の子みたい」
夢見心地のまま、直人は街角を曲がろうとした。その時——
「きゃっ!」「うわっ!」
勢いよく誰かとぶつかり、二人は倒れ込んだ。
頭がくらくらする。
目を開けると、目の前には赤みがかった髪の女性が倒れていた。
彼女も驚いたようにこちらを見ている。
「え……? 何これ……?」
その声は、自分のものではなかった。
そして、視線を落とすと——見知らぬ女性の手が、自分の意識に応じて動いていた。
「えっ……えぇっ!?」
直人は慌てて立ち上がり、目の前のショーウィンドウに映る姿を見た。
そこには、さっきまでぶつかった女性が立っている——いや、”自分が”彼女になっていた。
「まさか……入れ替わった!?」
戸惑いながらも、直人はこの変化に胸が高鳴るのを抑えられなかった。
(手が細い……指も長くて綺麗……)
ふわりと揺れる髪、柔らかな唇、そして……女性らしい膨らみを感じる胸。
彼はそっと自分の体を抱きしめ、その感触を確かめた。
「す、すごい……これが女の子の体……」
体全体がしなやかで、動き方がこれまでとはまるで違う。
心臓がドキドキして止まらなかった。
(やばい……このまま、この体で……)
一方、元の直人の体になった女性、玲奈は信じられないという顔で自分の手を見つめていた。
「な……何これ……?」
低い男の声が出ることに驚き、震えながら喉を触る。
男の骨ばった手、長い脚、そして……平坦な胸。
「嘘でしょ……!?」
玲奈は慌てて元の体の直人に詰め寄った。
「あなた、何なの!? どういうことなの!?」
直人(玲奈)は、申し訳なさそうにしながらも、目を輝かせていた。
「えっと……えへへ……なんか、すごいね、これ……」
玲奈はその反応に驚いた。
普通ならパニックになるはずなのに、むしろ楽しんでいるようだった。
入れ替わってから数時間、直人は完全に”女性の体”に馴染み始めていた。
「おしゃれしても、もう”男の女装”じゃないんだ……私、本物の女の子なんだ……」
メイクを直し、スカートをひるがえして街を歩く。
さっきまでの不安はなくなり、全身が嬉しさで満ちていた。
一方、玲奈は……。
「これが、男の力……」
最初こそ拒否反応を示していたが、時間が経つにつれ、力強い手足の感触、低い声、そして男としての生理的な感覚が彼女の意識を少しずつ侵食していた。
(いや、私は女……元に戻らなきゃ……)
しかし——
(でも……戻りたい、のか?)
玲奈は無意識に、男の体を受け入れつつあった。
数日が経った。直人も玲奈も、元に戻る方法を探そうとはしていなかった。
ある日、直人は微笑みながら言った。
「ねぇ、せっかくだし、一緒に出かけない?」
玲奈(男の姿)は少し迷ったが、ふと鏡に映る自分を見て、笑みを浮かべた。
「……そうだな、行くか」
そうして、二人は”女性の直人”と”男の玲奈”として、新しい人生を歩み始めるのだった——。
メイクして、ウィッグを被り、きっちりおめかししたら
元の自分と大分変わり、結構テンションが上がります。
でも、実際に女性になったらどうなるんでしょうか?
結局自我は男性ですし、女性として生きたいとまでは思ってないかも?
いや、思ってる人もいると思いますが、結構盲目的な人が多い印象。
それはそれとして、元の自分と大きく変わるのは楽しいです。
人生を変えるために一度やると良いよ!
何かに目覚めても責任は取りませんがw
しばらく更新は火曜日と金曜日に固定。
毎日はやらないと言ったが、期日を決めないとサボりが進む。
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