午後の日差しが部屋に差し込む中、莉奈はベランダで洗濯物を取り込んでいた。
ふと視線を庭に向けると、近所に住む優真がバスケットボールで遊んでいるのが見えた。
彼は小柄で少し内向的だが、莉奈にとってはどこか放っておけない存在だった。
「優真くん、ちょっと手伝って!」
優真は驚きつつもボールを抱え、莉奈のベランダの下に駆け寄った。
「どうしたんですか、莉奈さん?」
「部屋を片付けてたら、変な鏡が出てきたの。一緒に見てみない?」
彼女の部屋に案内されると、机の上にはアンティーク調の小さな鏡が置かれていた。
装飾の施された縁が独特な雰囲気を醸し出している。
「なんかこれ、ただの鏡じゃない気がするんだけど……触ってみる?」
優真が恐る恐る鏡に触れると、瞬間、鏡が淡い光を放ち、二人の身体を包み込んだ。
「うわっ!」
気が付くと、莉奈は目の前に自分自身が立っていることに気づいた。
「これって……どういうこと?」
「えっ、ちょっと待って。僕、莉奈さんの声で話してる!?」
二人は鏡に触れたことで身体が入れ替わってしまったのだ。
最初はパニックになった二人だったが、冷静になり話し合った結果、元に戻る方法が見つかるまではお互いの生活を体験することに決めた。
「とりあえず、私の大学のゼミには行かなくていいから、家でおとなしくしてて。その代わりに、私が優真くんの高校生活を体験してくる!」
「えぇ!? 大丈夫なんですか、それ……」
莉奈はそう言いながら、優真の制服に着替え始める。
優真の身体は小柄で、制服も普段の服より小さく感じるが、彼女はなんとか着こなした。
一方で、優真は莉奈の部屋に残され、彼女の生活を垣間見ることになる。
部屋でひとりになった優真(莉奈の身体)は、興味本位で彼女のクローゼットを開けた。
そこには華やかなワンピースやスカートが並んでおり、普段の自分とはまるで違う世界が広がっていた。
「これ……女の人ってこんなの着るんだ……」
彼はふと手に取った白地にカラフルな柄があしらわれたワンピースを見つめた。
そして、恐る恐るそれを着てみることにした。
「……どうせ今は莉奈さんの身体だし、大丈夫だよね。」
優真はワンピースを身にまとい、鏡の前に立った。
そこには、完全に「莉奈」の姿が映っていた。
「……すごい。これが、女の人の服……」
優真は初めての感覚に戸惑いながらも、少しずつその新しい自分を楽しむようになっていった。
数日間、二人は交換した身体で生活を続けた。
莉奈(優真の身体)は、彼の友達と過ごす高校生活に驚き、若さのエネルギーを感じた。
一方で優真(莉奈の身体)は、大学生としての自由な時間や、女性の生活に新鮮な発見を重ねていった。
ある日、優真が莉奈のワンピースで部屋を歩き回っていると、莉奈(優真の身体)が帰ってきた。
「……あんた、楽しんでるわね。」
「えっ、いや、その……なんか興味本位で。」
莉奈は苦笑しながらも、「まぁ、いい経験になってるでしょ」と優真をからかった。
しばらく経った頃、二人は再び鏡を使って元の身体に戻ることに成功した。
「優真くん、君と交換生活ができて本当に楽しかったわ。」
「僕も、莉奈さんのおかげで自分の世界が広がった気がします。」
入れ替わった経験を通じて、二人はお互いの立場を理解し、新しい友情を築いた。
二人はそれぞれの日常に戻ったが、時折、交換生活の思い出を話し合うために顔を合わせるようになった。
「あの夏、不思議な体験をしたね。」
お互いの視線が合ったとき、二人は微笑み合った。
それぞれの胸には、思い出が深く刻まれていた。
男がワンピースなんて初めて着るときはかなりドキドキです。
絶対に男物の服には無い形状ですからね。
そして丈が短くて恥ずかしくなるみたいな。
で、なれると楽しくなってくる。
その先まで行くと何も感じなくなると。
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