冬の休日、喫茶店の片隅で悠也(ゆうや)は大きな溜め息をついた。
目の前のガラスには、見慣れない顔が映っている。
長い髪、華奢な肩、そして柔らかそうなセーター。
そこに映っているのは、どう見ても友人の葵(あおい)の姿だった。
「どうしてこんなことに……」
今朝目が覚めたとき、悠也はこの奇妙な事態に直面した。
自分の身体が葵のそれに入れ替わっていることに気づき、最初は夢だと思ったが、何度顔を洗っても状況は変わらなかった。
慌てて葵に連絡を取り、彼女の身体に入っている自分と喫茶店で落ち合うことになった。
目の前には、悠也の姿をした葵が腕を組んで立っている。
険しい表情から察するに、彼女も相当混乱しているようだ。
「どういうことよ、これ!」葵は机を軽く叩きながら言った。
「私、目が覚めたらこんな男臭い身体になってたんだけど! 何かしたんでしょ?」
「いや、俺だって訳がわからないよ!」悠也は慌てて弁解する。
「昨日は普通に寝ただけだし、こんなことになるなんて夢にも――いや、夢じゃないんだけどさ……」
「もう、どうすればいいのよ……」葵は頭を抱えた。
そんな彼女を見ながら、悠也の胸の中に小さな悪戯心が湧き上がった。
この状況は確かに困惑するものだが、せっかく葵の身体になったのだから、ちょっと遊んでみてもいいかもしれない。
そう思った悠也は、わざと「可愛い女の子らしさ」を強調した振る舞いを始めることにした。
「ねえ、葵ちゃん♪」悠也は甘い声を出して、顔を傾けながら彼女を見つめる。
「こういう時って女の子らしくしないと、周りにバレちゃうかもよ~?」
「何その喋り方……気持ち悪いんだけど」葵は顔をしかめた。
「えー、そんなこと言わないでよ!」悠也は両手で頬を押さえ、「きゃっ」と小さく叫んだ。
「だって女の子は可愛くしてなきゃだめなんでしょ?」
その言葉に、葵の顔が一瞬険しくなった。
「ちょっと、ふざけないで!」彼女は低い声で言った。
「そういうの、本当に腹立つんだけど!」
「えー、だって本当の葵ちゃんもこんな感じじゃん?」悠也は笑いながら答えた。
「普段から可愛い仕草とか、こういう服とか、好きでしょ?」
「……だからって、私を茶化していい理由にはならないでしょ!」葵の声が一段と鋭くなった。
葵が激怒する理由は単純ではなかった。
彼女にとって「可愛い」振る舞いや服装は、自分を大切にする一部だった。
それを茶化されるのは、まるで自分の存在そのものを軽んじられたような気分になる。
「悠也、あんた本当に分かってないよね」葵は溜め息をつきながら、冷たい目で彼を見た。
「私が普段どうして可愛いものを選んでるか、ちゃんと考えたことある?」
「え、別に女の子だから自然にそうなるんじゃ――」
「違う!」葵は遮った。
「私は、私らしくいるためにやってるの。自分が好きなものを選んで、自分を大事にしてるだけ。それを簡単に笑いものにされると、本当に腹が立つ!」
悠也は黙り込んだ。
普段の葵がそこまで考えているとは思いもしなかった。
彼女の怒りがただの感情的なものではなく、深い理由があることに気づき、少し後悔の念が湧いてきた。
「ごめん……ちょっと悪ノリしすぎたかも」悠也は頭をかきながら謝った。
その後、二人はお互いの生活について話し合い、改めて相手の気持ちを理解しようと努力した。
葵は「男の身体での生活がどれだけ大変か」を訴え、悠也は「女の子として振る舞う難しさ」を語った。
数時間後、二人の身体は元に戻った。
どうして元に戻れたのかは分からなかったが、何よりもこの経験を通じて、二人はお互いの考えや価値観を少しだけ深く知ることができた。
「今度からはあんたも、少しは気をつけなさいよね」葵は言いながら、いつもの軽い口調で笑った。
「わかったよ。もう茶化したりしないから」悠也も笑顔で応えた。
自分って大事ですよね。
私のこれは、かなりキャラ作り的なのもありますが
自分らしく生きるのに茶々入れてくる人は困ります。
まあ、何となくそういうことしてる人って
大体最終的には独りになって相手にされなくなる気がします。
そんな相手は無視して好きなことして生きましょう!
その結果が↑の写真とこの駄文です♪
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