
雪がしんしんと降る冬のある日。
男子高校生のユウは、誰にも言えない秘密の趣味を実行すべく、こっそり近所の公園へと向かった。
バッグにはウィッグ、ワンピース、タイツ、メイク道具が入っている。
そう、彼の趣味は“女装”。
「今日も完璧な俺、見せてやるぜ……誰にも見られないように……」
人気のない広場でさっそく着替え、鏡の前に立つユウ。
そこには、自分でも惚れ惚れするような美少女の姿。
「マジで俺、才能あるわ……このままアイドルデビューできんじゃね?」
だがその瞬間、鏡の中の”自分”がニヤリと笑った。
「……あれ? ちょっと、なんで笑って……うわああああ!」
光が弾け、ユウの意識は飛んだ。
目が覚めたユウは、まず胸を見て絶叫した。
「……おいおいおい! なにこの、リアルおっぱい!? いや、これ……俺!?」
声も高く、体も柔らかくなっており、どう見ても女の子。
鏡を見れば、そこにはさっきまで鏡の中にいた“理想の美少女”が立っていた。
そして、その鏡の中には――ユウの元の姿が、スマホをいじりながらポテチを食べていた。
「おいっ! なにくつろいでんだよ俺ーっ!!」
鏡の中のユウ(以下:ニセユウ)は、ポテチの粉を払いながら言った。
「ちょっとくらい、交代してみたかったんだよ。楽しそうだったし? なぁに、すぐ戻れるって~」
「簡単に言うな! この身体でどうやってトイレ行くんだよ!」
その後、何故か現実世界でも“アカネ”という女子高生として認識されてしまったユウ。
家族も、クラスメイトも、自分のことを最初から“アカネ”だと思っている。
「……ってことは、男子更衣室行けない!? 体育やばくね!?」
女子制服に悪戦苦闘しながら登校。
スカートの感触に戸惑いつつも、「ちょっと……風、やばい……」と内心ガチ焦り。
「アカネちゃん、最近雰囲気変わったね? なんかこう……大人っぽくなった?」
「えっ!? な、なにそれ……(やめろやめろやめろ!!)」
教室では恋バナタイムに巻き込まれ、「初キスいつ?」という話題に真っ赤になって誤魔化すユウ。
(俺の青春、どこ行った……)
一方、鏡の中のニセユウはユウの体を使ってやりたい放題。
ゲーセンでゲーム三昧、男子トークでハメ外し放題、放課後はラーメン替え玉三杯。
「いやぁ、男子の生活って最高だなー! ノーブラで走らなくていいし!」
「俺の名誉がどんどん地に落ちてるんだが!?」
チャットで連絡を取るも、ニセユウは「今めっちゃ忙しいからまた今度☆」と軽く流す。
ユウは決意する。
あの広場の鏡にもう一度行き、直接交渉するしかない。
雪の降る夜、広場に立つと、再び鏡の中の“自分”と対面する。
「もう満足だろ!? そろそろ返せ!」
「うーん、あと三日くらい……いや、せめて文化祭まで? 女子とダンス踊ってみたいんだよね~」
「絶対ダメ!!」
鏡の前で押し問答をしていると、雪に足を滑らせ、ユウは鏡に突っ込んでしまう――
気がつけば元の身体に戻っていた。
「やった……! 男の身体って、こんなに動きやすかったんだな……(泣)」
しかし、鏡の中のアカネはちょっと寂しそうに手を振っていた。
『たまにはまた交代しよ? 女子の生活、案外悪くなかったでしょ♪』
「絶対イヤだーっ!! ……でも、まぁ、また困ったら頼むかも」
それ以来、ユウはときどき女装することに抵抗がなくなった。
鏡の中から声がすることもあるが、それも今ではちょっとした日常。
「今日はメイクばっちりだね、ユウくん。合格~♪」
「うるさいっ!! ……でも、ありがとな」
雪の夜、鏡越しに笑い合う二人(?)。
ちょっぴり恥ずかしくて、でもちょっと楽しい、不思議な日常が続いていく。

鏡の中の自分の行動も、現実世界に反映されるんですかね?
それとも現実だと思ってたら鏡の中に入ってたとか?
AIだとたまに描写が微妙。
という、何でも上手くいかないという例です。
あと、雪降る時期にこんな格好したら風邪ひきます。
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