駅前の雑踏の中、春風がふわりと舞い上がった。校門から出てきたのは一人の学生。
整った顔立ちに、艶やかな髪。そして、ひらりと揺れるスカートが印象的だった。
しかし、その視線はどこか落ち着きがなく、周囲を気にしているようだった。
「……あれは、誰だ?」
それに気づいたのは裕也だった。
彼は中性的な顔立ちを持つ男子で、時折その外見が原因で周囲から誤解されることもあった。
けれども、そんな日常の不満をよそに、その「彼女」の存在が気になって仕方がなかった。
裕也は、吸い寄せられるようにその後ろをついていった。
「これで大丈夫……だよね?」
制服のスカートを整えながら、涼真は独り言をつぶやいた。
彼は見た目の通り女子高生ではなく、女装男子だった。
生まれつき整った顔立ちと、細い体つきを生かして、趣味の一環として時折こんな姿になる。
しかし、今日は特別な用事があった。
それは、ネットで知り合った友人たちとの女装カフェでの集まりだ。
「問題ないって。みんなも楽しみにしてるし……大丈夫、大丈夫……」
心の中で自分に言い聞かせながら、カフェへの道を急いだ。
その後ろで裕也は、どのタイミングで声をかけようかと様子をうかがっていた。
そして、路地裏で周囲の目が途切れる瞬間を見計らい、意を決した。
「ちょっと君、待って!」
裕也が声をかけた瞬間、涼真はぎょっとして振り返った。
その時、裕也は咄嗟にポケットから取り出したペンダントを握りしめ、「入れ替わり」の術を発動させた。
「えっ、なに……!」
目がくらむような光が二人を包み、次の瞬間、涼真は裕也の体に、裕也は涼真の体に入れ替わっていた。
「成功だ……!」
涼真の体になった裕也は、思わず歓喜した。
女子高生らしい制服、柔らかそうな髪、そして軽やかなスカートの感触。
それら全てが、彼を新たな興奮へと導いた。
「さて……これで俺も少し楽しめそうだな……!」
しかし、ふとした違和感が彼を襲う。
胸をそっと触れてみると、妙に硬い感触があった。
「……ん?パッド……?」
さらに確認するために、涼真の体を細かく調べ始めた。
スカートの下、腰回りの感触を確かめてみる。
指先が布地に触れた瞬間、その手は一瞬止まった。
「……これ、女の子用の下着か……?」
そこにあったのは、白地にレースがあしらわれた可愛らしいショーツ。
まさかの発見に胸が高鳴ったが、それ以上に彼の混乱を加速させたのは、ショーツの中にあるものだった。
「おいおい……嘘だろ……?」
ショーツの奥に触れた感触――それは、まぎれもなく「男」の象徴だった。
「これ……女装男子!?マジかよ!」
一方、裕也の体に入れ替わった涼真は、状況をすぐさま察知した。
「……え、これってもしかして……本当に入れ替わってる?」
初めての感覚に戸惑いながらも、ポケットを探り、裕也の財布を取り出した。
そして、その中にぎっしり詰まったお札を目にした瞬間、彼の表情が変わった。
「……これは、使わない手はないな。」
涼真はそのまま最寄りのショッピングモールへ向かった。
彼が目をつけたのは、可愛い服や化粧品のコーナーだった。
裕也の体を利用して、普段なら手が届かないような高価な品々を次々と購入していった。
「このリップ、ずっと欲しかったんだよね……!」
一方、その頃、裕也は涼真の体の「秘密」に直面し、困惑していた。
「これ……どうすりゃいいんだよ……」
その後、二人が再び顔を合わせた時、彼らの間には新たな火花が散るのだった。
女の子になれると思って、実は男だったら
割とがっかりしてしまうかもしれない。
でも見間違えるくらいに可愛いならありかもしれない?
たまには男女の入れ替わりを止めてみた。
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