教会の庭園に柔らかな日差しが降り注ぐ中、白いウェディングドレスを纏った佳乃(かの)は、新婦としての一歩を踏み出した。
隣に立つ新郎、隆也(たかや)はタキシードに身を包み、静かに微笑んでいる。しかし、二人の心には一つの秘密が隠されていた。
「本当にこのまま進んでいいのかな…」タキシードを着た佳乃は心の中でそう呟いた。
二人はお互いの願いを叶えるために、こっそりと身体を交換したのだ。
「大丈夫、誰にも気づかれてないよ。」ウェディングドレスを着た隆也が心の中で彼女を安心させる。
彼もまた、不安を抱えつつも、佳乃の手をしっかりと握りしめた。
結婚式は順調に進み、神父の前で二人は誓いの言葉を述べた。
周囲には秘密のまま、二人は新たな人生のスタートを切ったのだった。
式が終わり、二人はホテルのスイートルームに戻ってきた。
夜の静けさが二人を包み込み、外の世界から切り離されたかのようだった。
「本当に、夢みたいだな…」隆也はベッドに腰掛けながら、手に持ったブーケを眺めた。
ドレスのふわりとした感触が彼を現実から遠ざけているようだった。
「そうだね。でも明日には元に戻るんだよね…」佳乃はタキシードの襟を緩めながら、ため息をついた。
二人の間には、一種の寂しさが漂っていた。
「だから、今夜はせっかくだから、このまま楽しもうよ。」佳乃が提案した。
その言葉には、少しの勇気と冒険心が込められていた。
彼女はこの特別な夜を、ただ終わらせるのはもったいないと感じたのだ。
隆也は少し驚いた顔をしてから、ゆっくりと微笑んだ。「そうだな。一晩だけ、もう少しこのままでいよう。」
二人はそれぞれの服装を楽しみながら、入れ替わった身体での夜を過ごすことにした。
隆也はドレスの裾を持ち上げ、部屋の中を軽やかに歩き回る。
一方の佳乃は、タキシードを着こなしている自分の姿を鏡で確認し、その違和感と興奮を味わっていた。
「ねえ、隆也。少し踊ってみない?」佳乃が手を差し出し提案する。
「うん、やってみよう。」隆也もその手を取り、二人はスイートルームの中で軽やかなダンスを始めた。
ドレスの裾がふわりと舞い、タキシードのジャケットが揺れる。
「思ったよりも難しいね…でも、楽しい!」佳乃は笑いながら、隆也をリードしてステップを踏んだ。
彼女の笑顔は純粋で、まるで少女のようだと錯覚させられた。
「本当だな。このまま時間が止まってくれたらいいのに…」隆也はそんな気持ちを抑えきれず、佳乃の腰に手を回して少し強く引き寄せた。
二人はそのまま、夜が更けるまで語り合い、笑い合いながら過ごした。
彼らにとって、今夜は特別な一夜となった。
明日には元に戻るという現実があるにもかかわらず、二人は今この瞬間を大切にしていた。
翌朝、二人は再び元の身体に戻っていた。
隆也はベッドの中で目を覚まし、少しぼんやりとした頭で昨夜の出来事を思い返した。
隣に寝ている佳乃も、ゆっくりと目を開ける。
「おはよう、佳乃。」隆也が優しく声をかけると、彼女は微笑んで「おはよう、隆也」と返事をした。
ついうっかり元の自分の服を着て寝てしまった二人はちぐはぐな格好をしていることに気が付き、二人の最初の朝は笑いに包まれることとなった。
体の交換ではないですが
男女逆転ウェディングってのはなんか昔聞いたことがあります。
男性側が奥さんの名前でウェディングドレスを着て
女性側が旦那さんの名前でタキシードを着て
お互いが女装趣味、男装趣味があったとかだった気が
両方の両親も合意してたみたいだし、理解があるって素晴らしいですね♪
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