文化祭を控えた教室は、メイドカフェの準備で活気に満ちていた。
女子たちはかわいいエプロンドレスに身を包み、男子たちはテーブルの配置や看板作りなど、裏方として働いている。
クラスの女子は全員がメイド役に選ばれたが、男子たちは「やりたくない」という理由で裏方に決まった。
主人公の大輔も、その一人として裏方作業に集中していた。
そんな時、クラス担任の真央先生が教室に顔を出し、「みんな、準備は順調か?」と声をかけてきた。
「先生、もうちょっとで終わりそうです!」
「頼もしいな。でも、怪我だけはしないようにね」真央先生が微笑みながら答えた瞬間、大輔は何かの拍子に足を滑らせ、真央先生とぶつかってしまう。
一瞬の衝撃とともに、大輔の意識は遠のいていった。
気が付くと、大輔は教室の隅で目を覚ました。
しかし、見慣れた自分の体ではなく、目の前に映ったのは…真央先生の姿だった。
手を動かしてみると、その動きに合わせて女性らしい細い指が動く。大輔は頭の中で叫んだ。
「え…俺、真央先生になってる!?」周囲を見回すと、真央先生…いや、自分の体に入った真央先生もまた驚いた表情を浮かべていた。
「大輔君…ですよね?」
「そ、そうです。先生、俺たち入れ替わっちゃいましたよ!」
ふたりはお互いの体を見つめ合い、どうするべきか途方に暮れる。真央先生は困惑しながらも冷静に、大輔に向かってこう告げた。
「とりあえず、今日は文化祭当日ですし…私の体のまま、大輔君がメイドとして参加するしかないようですね」
メイド服を着せられた大輔(真央先生の姿)は、見慣れないヒールの高さにふらつきながら、接客の練習をさせられていた。
周りの女子たちは「あれ?先生、なんだか可愛い感じですね!」と笑顔で褒めてくれるが、大輔としては居心地の悪さに顔を赤らめるばかりだった。
「い、いや…ちょっと恥ずかしいな…」
しかし、「先生」がメイド役として接客に参加すると、文化祭に訪れた他クラスの男子たちや保護者たちが「先生がメイド!?」と驚きの声を上げ、予想以上の人気を博した。
接客をこなしながら、大輔は徐々に、周りの反応に自信を持つようになっていく。
「意外と悪くないかも…?」
真央先生の声で発する言葉が、まるで自分とは思えないほどにしっくりくる。
そして、自分が思っていた以上に人に喜んでもらえることが嬉しく感じ始めていた。
大輔は、少しずつ自分の中にある「楽しさ」に気付き始めていたのだった。
文化祭が無事に終了し、疲れ果てた大輔(真央先生の姿)は教室の片隅で一息ついていた。そこへ、大輔の姿をした真央先生がやってきた。
「今日は本当にお疲れ様、大輔君」
「先生も、お疲れ様です。なんとか乗り切れたみたいですけど…正直、すごく疲れました」
お互いの苦労を分かち合いながら、二人は自然と笑みを浮かべる。
その後、真央先生は大輔に対して、入れ替わっている間にどんな気持ちで過ごしていたかを聞き始めた。
「メイド服、どうだった?」
「いや、最初は恥ずかしくて死にそうでしたけど…でも、みんなが褒めてくれると、なんだか嬉しくなっちゃいましたね」
自分の中に芽生えた新しい感情に戸惑いながらも、少し誇らしい気持ちで話す大輔。
それを聞いた真央先生もまた、彼の意外な一面に感心し、「いつもは見られない表情を見たわ」と微笑んだ。
文化祭が無事に終わり、二人は元の体に戻る方法について話し合うため、真央先生の家へ向かうことにした。
夜の街灯に照らされながら、歩く二人は、これまでの出来事について静かに話していた。
教師と生徒という立場でありながら、入れ替わったことで、不思議な感覚を共有していた。
真央先生の家に着くと、大輔(真央先生の体)は少し緊張しながらも、先生の家の中に足を踏み入れた。
女性らしいインテリアや、小物が整然と並ぶ部屋の雰囲気に少し圧倒され、戸惑いを感じつつソファに腰掛ける。
「じゃあ、どうやったら元に戻れるか、考えてみましょうか」
真央先生(大輔の体)が落ち着いた口調で言った。
「はい…でも、どうすればいいんでしょうね」
大輔は少し困ったように、真央先生の体のまま答える。
いくら考えても、元に戻る具体的な方法が浮かばず、話題は自然と今の自分たちが感じている体の違和感や戸惑いへと移っていった。
「大輔君、私の体になってみてどう?」
真央先生(大輔の体)は、少し興味深そうに問いかけた。
「最初はすごく違和感があって、動きもぎこちなかったんですけど、だんだん先生の体になじんできた気がして…でも、やっぱり少し変な感じがします」
大輔は、真央先生の体での感覚や日常の違和感を率直に語った。
「そう…私もあなたの体になって、少しだけ違う感覚が楽しいと思う時もあったの。けれど、やっぱり元に戻りたい気持ちが強いわね」
真央先生(大輔の体)は、しみじみと語りつつ、大輔の体で感じた新鮮な発見についても触れた。
話が進むにつれて、二人はお互いの体に対する不安や気持ちを共有し合うことで、次第に親近感を覚え始めていた。
教師と生徒としての日常とは異なり、入れ替わりを通して、今は対等な立場でお互いを理解し合おうとしていた。
「先生、こういう状況でなければ、こんなに話し合うこともなかったかもしれませんね」
「そうね、大輔君。入れ替わったことで、普段の自分を見つめ直すきっかけになったかもしれないわ」
互いの言葉に、自然と微笑みがこぼれる。
新しい視点で自分を見つめることができたこの経験に感謝しながら、二人はさらに元の体に戻る方法について真剣に話し合いを続けた。
真央先生の家で話し合いを続けるうちに、二人は自然と疲れが出てしまい、いつの間にか眠りについていた。
朝の光が部屋を照らし、ふと目が覚めた真央は、自分がソファの上で横になっていることに気づく。
体がなんだか重く感じて、ぼんやりと目をこする。その瞬間、自分の体が元に戻っていることに気づいた。
「あれ…戻ってる…?」
自分の声で呟いた真央は、思わず胸に手を当て、元の感覚が戻っていることを確かめる。
しかし、次の瞬間、メイド服を着たままで寝てしまったことに気づき、顔が一気に赤くなる。
「きゃっ…!なんで私、こんな格好で…!」
恥ずかしさで身を縮めながら、鏡に映る自分の姿を見て、昨日の出来事がまざまざと蘇る。
一方、床に寝転んでいた大輔も目を覚まし、自分の体に戻っていることに気づいた。
ホッとしたのも束の間、ふと自分の服装を見て驚愕する。
なんと、真央先生の寝巻きを身にまとっていたのだ。
真央が寝るときに、無意識に着替えてしまったのだろう。
「うわっ! なんで俺、こんな格好してるんだ…!」
彼もまた、顔を赤らめながら、自分の姿を見て動揺する。
「おはよう…大輔君、なんだか不思議な朝ね」
真央は頬を赤らめつつも、笑顔で挨拶する。
「お、おはようございます、先生…戻ってるみたいですね…」
大輔も照れくさそうに返事をしながら、再び自分の格好に視線を落とす。
お互いの姿を見て少し笑いがこぼれるものの、昨日の入れ替わり体験を通して、より深い理解と絆が生まれたことを二人は感じていた。
どこかぎこちないながらも、いつもとは少し違う親近感に包まれた朝を迎えた二人だった。
先生もこういう行事だとコスプレチックなことするんですかね?
私が通ってた学校ではしてましたけど。
女の先生はそんなに特別変わった格好はしてなかった気がする。
男の先生の方が、一発ネタ的に女装とかしてましたね。
私は無難なやつ選んでました。
あとメイドカフェとか流行る前の時代なんで、こういう発想無かったですね。
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