
「……ううん……」
目を覚ました瞬間、体に違和感を覚えた。
普段より体が軽く、指先が妙に細くなった気がする。
「……あれ?」
手を伸ばしてみると、目に入ったのは白くて華奢な指。
驚いて飛び起きると、胸元に妙な重みを感じる。
「えっ……?」
慌てて目の前の姿見を見ると、そこには見慣れた母・美奈子の顔があった。
「ま、まさか……」
手を胸に当てて軽く押してみる。
柔らかくてふわふわした感触に、背筋がゾクリと震えた。
「これ、母さんの体……?」
混乱しながら部屋を飛び出すと、階下から慌ただしい足音が聞こえてきた。
「きゃああああ!!」
「お母さん!?いや、俺!?」
慌ててリビングに駆け下りると、ソファに座っていた自分――つまり悠斗の姿をした母が、こちらを指差していた。
「悠斗!?何これ!?どうなってるの!?」
「こっちが聞きたいよ!」
二人は顔を見合わせ、呆然としたまましばらく言葉が出なかった。
「まさか本当に入れ替わるなんて……」
「まさかって……一体どうすれば戻れるの?」
「とりあえず、落ち着こう……」
冷静になろうとするが、どうにも気持ちが落ち着かない。
自分が母の体であるという現実が、嫌でも意識にのしかかってくる。
「じゃあ、今日から私が悠斗として学校に行って、悠斗は家のことをやるのね?」
「……マジかよ。」
「家事なんて楽勝でしょ?」
「は?マジで言ってんの?」
そう言いながら、美奈子(悠斗)は満面の笑みを浮かべていた。
翌日。
「はぁ……母さんって、毎日こんなに家事してんのか……」
掃除、洗濯、料理――やることが山ほどある。
慣れない母親の体で動くこと自体が難しく、洗濯物を畳む手つきすらぎこちない。
「疲れた……少し休もう……」
そう思いながら、寝室のクローゼットを開けた時だった。
「ん?……これ……」
目に飛び込んできたのは、黒と白のクラシカルなメイド服。
「母さん……なんでこんな服持ってるんだ?」
ためしに手に取ってみると、サラリとした生地が指に心地よい。
「……着てみようかな……」
気がつけば、悠斗(美奈子)はメイド服を着ていた。
「……意外と、似合ってる?」
ウエストはぴったりで、胸元は若干きつめ。スカートは短く、フリルがひらひらと揺れる。
さらにカチューシャに猫耳までつけ、最後に大きな鈴のついたチョーカーを首に巻く。
「……にゃん♪」
鏡に映った姿を見て、顔が熱くなる。
「これ……やばくないか?」
胸元のリボンにそっと手を添えると、思わず敏感な反応が返ってきて驚く。
「くっ……」
裾を軽く持ち上げると、スカートのフリルがふわりと揺れる。
(これが母さんの体の感覚……)
思わずスカートの裾をもう一度ふわりとさせる。軽やかに揺れる布の感触と、素足に感じる風の心地よさ。
「これは……いいかもしれない……」
その時――
「――何やってるの?」
「!!?」
振り返ると、自分の姿をした母親――つまり美奈子(悠斗)が呆れた顔で立っていた。
「ちょ、母さん!?」
「説明してもらえるかしら?」
「いや、これは……その……」
「悠斗……罰よ。」
「え?」
「その格好のまま、家の中で1日過ごしてもらうから。」
「はぁ……」
メイド服姿で掃除をする自分の姿に、悠斗(美奈子)は顔が真っ赤になった。
「やだ、これ……」
スカートが揺れるたびに下着の感触が伝わってくる。
胸元も軽く揺れ、妙な感覚が体を駆け抜ける。
「これは……想像以上にきつい……」
キッチンで料理を作っていると、フリルの袖が邪魔になる。
「うわ、火に近づいたら燃えそうだ……」
頬に汗が伝う。火を止めて、ふと鏡を見ると、そこにはメイド服に包まれた母の体が映っていた。
「……やっぱり、似合ってる……」
思わず自分に見惚れてしまう。
その時――
「悠斗、今夜はカレーにしようか。」
「うわっ!?」
背後から声が聞こえ、慌てて振り返ると、自分の姿をした母が満足そうに微笑んでいた。
「どう? 罰はしっかり受けてる?」
「……もう勘弁してくれ……」
その夜、二人はリビングに並んで座っていた。
「母さん、やっぱり家事って大変だな……」
「学校も大変よ。男の子の生活もなかなか難しいわ。」
「でも、これでお互いのこと、ちょっと理解できたかもな……」
その時、ふわりと金色の光が二人を包んだ。
「……戻った……?」
恐る恐る自分の手を見てみると、もとの手に戻っていた。
「良かった……」
「悠斗、これからはもう少し手伝ってくれるわよね?」
「……まあ、そうなるかもな。」
「あと、メイド服は没収よ。」
「ええっ!? せっかく似合ってたのに……」
「……ふふ。」
二人は顔を見合わせて笑った。

母がメイド服着てたら。。。
ちとつらい。多分即座に家を出る。
強い酒をあおって、禁煙中のたばこを解禁して精神を落ち着ける。
それでも再びそんなものが現れたら
多分その先のことを心配する必要はなくなると思う。。。
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