大学の昼休み、食堂の片隅で佐倉真由はうつむきながら小さな溜息をついた。
隣では親友の杏子が肩をすくめて苦笑している。
「もう、真由も懲りないわね。木村翔に告白するなんて、絶対やめときなさいって言ったじゃない」
「分かってたけど、どうしても……。でも、あんなに笑われるなんて思わなかった……」
あの日、真由は勇気を振り絞って木村翔に気持ちを伝えた。
しかし、翔は鼻で笑い、「お前、もっと自分の見た目をどうにかしろよ」と言い放った。
その上、彼はサークル仲間たちにその話を広め、真由の羞恥心をさらに煽った。
「もう、学校行くのも恥ずかしいよ……」
真由の声はか細く震えていた。杏子は少し考え込んだ後、小声で切り出した。
「ねえ、本当に翔に仕返ししたい?」
「え……?」
「もし覚悟があるなら、ちょっと変わった方法を試してみる?」
杏子が取り出したのは、古びた魔術書だった。
—
その夜、真由は深夜の公園で翔を呼び出した。
何も知らない翔は、不満げな表情で腕を組んでいる。
「なんだよ、こんな夜中に。俺忙しいんだけど?」
「ちょっとだけ、付き合ってほしいの」
真由は落ち着いた声で、呪文を唱え始めた。
翔が怪訝そうに眉をひそめた瞬間、二人の体に強烈な光が降り注いだ。
「な、なんだこれ……!」
翔が驚愕の声を上げ、自分の手を見つめる。
その手は華奢で、自分がよく見知った真由の手そのものだった。
「え? これ……俺の体じゃない!?」
「その通り。今から1週間、あなたは私。そして私はあなたよ」
真由の冷静な口調に、翔は言葉を失った。
—
翌朝、真由は翔の体を使って大学に登校した。
ただし、普通の服ではなく、事前に買っておいたウィッグを被り、女装用のネコ耳メイド服を着て。
「おはようございます!」翔の体で明るく挨拶する真由に、クラスメートたちはどよめいた。
普段はクールな翔が、猫耳を揺らしてメイド服を着こなしている姿に、誰もが目を疑ったのだ。
「翔、どうしたんだよ、その格好!」
「いやあ、気分転換ってやつ?」
真由は満面の笑みでそう答え、軽やかにスカートを揺らした。
一方、地味な真由の体を手に入れた翔は、いつもの自信を失い、周囲からの冷ややかな視線に耐えきれなかった。
「佐倉、どうしたんだ? 前と雰囲気が全然違うじゃん」
「な、何でもねえよ!」
翔は精一杯声を張ったが、隠しきれない不安がにじみ出ていた。
—
数日後、翔の体での生活にも慣れた真由は、次第に大胆になっていった。
授業中もわざと翔の知り合いに話しかけ、女装姿で愛嬌を振りまく。
「木村君、メイド服めっちゃ似合うね!」
「そう? ありがとう♪」
翔の体を操る真由は、自然な仕草でスカートの裾をつまんで軽くお辞儀をした。
それを見ていた翔(真由の体)は、歯を食いしばって何も言えなかった。
「くそ……俺の体で何やってんだよ!」
翔の悔しさに反比例するように、真由は復讐の手応えを感じていた。
—
1週間が経ち、魔術の期限が切れる日がやってきた。
夜、再び公園で対峙する二人。
「もういいだろ! 元に戻せよ!」
「そうね、約束だから戻すわ。でも、その前に一言だけ」
真由は翔に静かな笑みを向けた。
「これで少しは、私がどんな気持ちだったか分かった?」
「……分かったよ。だから、もう二度とお前のことを馬鹿にしない。謝るから!」
真由は翔のその言葉に満足げに頷き、呪文を唱えた。
そして、二人は元の体に戻った。
—
しかし、それで終わりではなかった。
翔が1週間続けたネコ耳メイド姿の噂はすでに学校中に広まっていた。
彼が女装をしていた証拠写真や動画は、SNSで拡散されるほどの話題に。
「おい翔、今度の学園祭でまた女装してくれよ!」
「お前のメイド姿、マジで最高だったって!」
翔は言い訳をするが誰も耳を貸さず、逆に面白がる学生たちに囲まれ続けた。
「これも全部、俺が悪かったからか……」
翔は俯きながら、地味で大人しそうに見える真由の後ろ姿を思い出す。
そして、二度と彼女を軽んじてはいけないと強く心に誓った。
真由はそんな彼の姿を遠目に見つめ、心の中で小さく呟いた。
「これで少しは、スッキリしたかな」
自分自身が女装した状態で現れたら、かなり衝撃ですね。。。
適度に筋肉が付いてるくらいなら、割と腕や足が細くて
女性物の服なんか着れちゃいますし。
メイクをがんばれば、見た目もそこそこいけますし。
女装した男性の姿を見たいなら、体を乗っ取れば良いですね。
その間に自分の体に何されるかは分かりませんが。。。
私は無理ですよ。会社ではこんな姿見せてないので。
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