目を覚ました瞬間、全身が重い。
目の前に見慣れない天井。
そして、違和感しかない自分の身体。
「なんだこれ…」
慌てて起き上がり、目の前の鏡に映った自分を見て、思わず息を呑んだ。
そこに映っていたのは、ぽっちゃり体型のセーラー服を着た女子高生だった。
「冗談だろ…」
その後、判明したのは、近所に住む女子高生・美緒の身体に自分が入っているという事実。
そして、元の身体――美緒が入った自分の身体――は、どこかへ消えてしまっていた。
入れ替わったばかりの隆司は、まるで慣れない服を着ているような違和感に包まれていた。
運動の授業では、ぽっちゃりとした身体が足を引っ張り、息切れするたびにクラスメイトからクスクスと笑われる。
「これが俺の人生ってわけじゃないだろ…」
だが、現実は容赦なく、体育が終われば次は授業。
しかも美緒の成績は芳しくないらしく、テストでは赤点ばかり。
教師からの叱責も多い。
「こんな生活、耐えられるかよ…」
それでも彼の救いになったのは、美緒の親友である由香里と真奈美。
彼女たちは漫画研究部の仲間で、腐女子トークで盛り上がる明るい存在だった。
「最近、美緒ちょっと元気ないね。大丈夫?」
「え? ああ、まぁな…」
隆司がぎこちなく返事をすると、由香里が優しく笑ってくれた。
その笑顔に、彼は初めてこの世界にも少しだけ安心できる場所があるのだと感じた。
ある日、クラスメイトの篤志が話しかけてきた。
彼は誰にでも優しいタイプで、ぽっちゃりした美緒にも自然体で接してくれる。
「美緒、最近元気ないみたいだけど、何かあった?」
「いや、別に…」
気まずさをごまかそうとしたが、篤志のさりげない気遣いに、なぜか心臓が高鳴った。
「は? 俺、男だぞ…」
鏡でセーラー服姿の自分を見ながら、隆司は拳を握る。
「これは美緒の身体のせいだ。俺の本当の気持ちじゃない…」
そう言い聞かせるものの、篤志の笑顔を思い出すたび、頭がぼうっとしてしまう自分がいた。
一方で、由香里と真奈美との時間も隆司にとってかけがえのないものになりつつあった。
漫画研究部で一緒に描いた同人誌のアイデアや、放課後のファミレスでのトーク――その一つ一つが心を癒してくれる。
「俺はやっぱり男だ。女子と付き合いたいって思うのは当たり前だろ…」
由香里に話しかけようと決意した隆司だったが、彼女の笑顔を見るとどうしても言葉が詰まる。
「美緒、なんか話があるの?」
「いや、なんでもない…」
結局、自分の気持ちを伝えることができないまま、時間だけが過ぎていく。
ある日、隆司は元の身体の手がかりを探すため、事故現場の情報を漁り始めた。
そして、衝撃的な事実を知る。
「俺の身体…いや、美緒が入った俺の身体が行方不明…?」
警察の記録には、美緒の意識が入った隆司の身体が夜の街をさまよっている姿が残っていた。
しかし、その後は足取りが途絶え、完全に消息不明になっていたのだ。
「戻れない…のか?」
現実を突きつけられた隆司は、愕然とする。
だが同時に、胸の中で微かな安堵のような感情が芽生えていることに気づいた。
「俺、もう…この体で生きていくしかないんだな」
隆司は「美緒」としての日常を続けていく中で、篤志に対する淡い恋心と、由香里への親友以上の好意の間で揺れ動くようになっていった。
放課後、篤志がふと手を差し出してくれた。
「美緒、帰り道、一緒に歩こうか?」
「あ、うん…」
その優しさに、隆司の心が引かれていく。
一方で、由香里と二人きりで漫画のアイデアを話し合う時間は、自分にとって特別なものであることを強く感じていた。
「俺はどっちが…本当の気持ちなんだ…」
最終的に、隆司は「美緒」としての生活を受け入れる覚悟を決める。
篤志と由香里、それぞれに大切な思いを抱えながらも、いつか答えを出す日が来ることを信じて。
夕焼けの中、セーラー服姿で歩く隆司は、自分の胸に手を当てて呟いた。
「もう戻れないけど…俺は俺なりに、この世界で生きていくんだ」
その瞳には、ほんの少しだけ未来への希望が宿っていた――。
別に多少動けなくても、笑われるとかはないと思いたい。
私も、元々運動苦手だし、男女関係なく動けない。。。
女性の体で男性に優しくされたら惹かれるんでしょうか?
優しくされたこと無いから分からんね。
男女問わず、気を使われるタイプじゃなかったし。
ちょっとエスコートとかされてみたいです。
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