クリスマスの夜、寒々しい部屋にひとりきりで過ごす男――拓也は、深いため息をついていた。
世間ではカップルや家族たちが笑顔で過ごす夜だというのに、自分はコンビニで買ったチキンとケーキをつつきながらテレビをぼんやり眺めるしかない。
「どうしてこうなったんだろうな……」と、誰に向けるでもなくつぶやいたその時。
コンコン。
不意に玄関からノック音が響いた。
「え?」と驚きながらも、こんな時間に誰だろうと怪訝な顔で立ち上がる。
ドアを開けると、そこに立っていたのは……真っ赤なサンタの衣装に身を包んだ女性だった。
「こんばんは、拓也さん。」
透き通るような青い瞳がこちらを見つめ、柔らかな声が響く。
「え、サンタ……?なんで俺の名前を?」
混乱する彼に対し、彼女は微笑んだ。「今日はクリスマスですからね。寂しそうにしているあなたのもとに来ました。」
「いやいや、どういうこと?これ、ドッキリとか?」
疑心暗鬼の拓也に、彼女はしなやかに指を口元に当てて「シーッ」と制する。
「ドッキリじゃありません。本物のサンタですよ。さて、今年はどんなプレゼントが欲しいですか?」
その問いに、拓也は思わず言葉を失う。
本物だと言われても信じられないが、彼女の雰囲気には妙な説得力があった。
それに……少しだけ胸が高鳴る。目の前に立つ彼女は、まるでおとぎ話から抜け出したような美しい存在だったのだ。
「えっと……プレゼントって言われてもな……」考え込む彼に、サンタの女性はいたずらっぽく微笑む。
「そんなに迷うなら、素直に答えればいいんですよ。心から望んでいることを。」
「心から……?」拓也はぽつりと言った。「……じゃあ、君が欲しい。」
一瞬の沈黙のあと、女性はくすりと笑った。
「なるほど。ではその願い、叶えてあげます。」そう言うや否や、彼女は小さな鈴を振った。
――チリン、チリン。
その音が響いた瞬間、拓也の身体に異変が起こった。
「え、なんだこれ……!?」視界が急に変わり、身体が軽くなる。
気づけば、彼は目の前に立っていたサンタの女性の姿になっていたのだ。「う、嘘だろ……!」
「どうですか?これがあなたの望んだことです。」目の前には、拓也の身体に入ったサンタが立っている。
「え、ちょっと待って!これってどういうこと!?俺が君になったのか!?」
「その通りです。」サンタは軽く肩をすくめる。
「私はたまには人間の暮らしを体験したかったんです。あなたが欲しいと言ってくれたので、少し交換させてもらいました。」
「交換って……いやいや、冗談じゃないよ!」
「まあまあ。そんなに心配しなくても、あなたにも楽しいクリスマスが待っていますよ。」そう言うと、彼女は彼のベッドにドカッと腰を下ろした。
「さて、私はこの身体でのんびり過ごさせてもらいますから、あなたは私の代わりに仕事を頑張ってくださいね。」
「ちょ、待てって!俺がサンタの仕事をするのかよ!?」
「ええ、もちろんです。さあ、時間がありませんよ。そろそろ行かないと。」
そう言いながら、サンタの格好をした拓也の肩に大きな袋が乗せられる。
「これがプレゼントです。トナカイたちが待っていますから、しっかり配ってきてくださいね。」
「いや、無理だって!」と言う間もなく、彼は窓の外へと放り出された。目の前には、輝くソリとトナカイたちが待ち構えていた。
「はあ……こんなことってあるのかよ……」
それから数時間、拓也は半ばやけくそでプレゼントを配り続けた。
子供たちの寝顔を見て少しだけ心が温かくなったが、それでも自分がこんな状況になるなんて信じられなかった。
一方その頃。拓也の身体に入ったサンタは、彼の部屋でホットチョコレートを飲みながらテレビを観ていた。「こういうのも悪くないですね。」
夜が明け、拓也が帰ってきた後、サンタとまた入れ替わり、元の姿に戻った。
「どうでしたか?少しは楽しいクリスマスになりましたか?」
「楽しいっていうか、もう勘弁してくれよ……」疲れ果てた顔で彼は言った。
それでも心のどこかで、これまでにない特別な夜を過ごせたことを認めざるを得なかった。
「それでは、また来年お会いしましょう。」そう言い残し、彼女は夜の空へと消えていった。
拓也はしばらくその光景を見つめていたが、ふと口元に微笑みが浮かんだ。「来年も……また会えるのかな。」
そうつぶやきながら、彼はそっと目を閉じた。
クリスマスイブだと、特定の男女は一緒に過ごしたがりますね♪
私は家族とケーキをつつきながらまったり過ごします。
そして夜は枕元にプレゼントを置いて。。。
サンタの衣装は持ってないですけどね♪
写真のは借り物ですし。
私もクリスマスプレゼント欲しいです。
このブログを更新する用のノートパソコン。。。
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