
その日、空には淡く雪が舞っていた。
放課後、ひとり町を歩いていた悠真は、ひっそりと佇むアンティークショップに目を惹かれた。
「……こんな店、あったっけ?」
ガラス越しに見えたのは、白い猫のぬいぐるみ。
まるで本物の毛皮のようにふわふわで、瞳だけが宝石のように輝いている。
悠真は吸い寄せられるように扉を開けた。
「いらっしゃい」
店の奥から現れたのは、年齢不詳の女性だった。
笑みを浮かべ、ぬいぐるみに目を向ける悠真に声をかける。
「その猫ちゃん、ちょっとした魔法がかかってるのよ」
「……魔法?」
「願いを込めて抱きしめると、望んだ姿になれるって言われてるの」
冗談だと思いつつも、悠真はその夜、猫のぬいぐるみを抱いて眠った。
ふと、心に浮かんだのは──
(女の子になれたら、どんな感じなんだろうな……)
翌朝。
鏡の中に映っていたのは、自分ではない女の子だった。
淡い茶色の髪に、すっと伸びたまつげ。
肌は透けるように白く、パジャマの代わりに着ていたのは白くてふわふわのワンピース。
足元にはニーハイソックス。
まるで……おとぎ話の中の猫耳少女。
「……え? え、ええええええっ!?」
声まで高くて可愛らしい。
どこからどう見ても、昨日までの男子高校生・悠真の面影はない。
スマホを確認すると、メッセージが一件。
《ごめん!私、紗季。もしかして、悠真くん?》
「まさか……入れ替わってる?」
悠真の体の中に入ってしまったのは、同じクラスで地味な印象だった女子・紗季だった。
普段は目立たないけれど、どこかミステリアスで、気になる存在だった。
《今日、学校近くの公園で会えないかな。話したいことがある》
約束の時間、白いコートを着た悠真(中身は紗季)は、震える手で温かい缶コーヒーを持っていた。
対する悠真(見た目は紗季)は、歩くたびにふわふわと揺れるスカートが恥ずかしくて仕方ない。
「……やっぱり、本当に入れ替わってるんだね」 「うん。しかも、どうやって戻ればいいのか、分からなくて……」
しばらくの沈黙の後、悠真は小さく笑った。
「不思議だな。君の体、すごく柔らかくて……あったかい」
その言葉に、紗季の顔が赤くなる。
「そ、それは……私の体だから……」
「でも……ちょっと楽しいかも。君って、こんなに可愛かったんだなって」
自分の姿で、そんなことを言われるのは、なんだか不思議で……でも嬉しかった。
数日間、二人は互いの生活を体験しながら過ごした。
悠真は初めてメイクやスカートを履く恥ずかしさと向き合いながらも、周囲の優しさや温かさに触れる。
そして紗季は、男子としての自由さや、自分の知らなかった世界を知っていく。
ある夜。
紗季の部屋で、ふたりはまた白い猫のぬいぐるみを手にしていた。
「元に戻れるかもしれないけど……少し、寂しいね」
「うん。君の体で過ごして、たくさん感じたんだ。君がどれだけ繊細で、優しい人かって」
しばらくの沈黙。そして、紗季が口を開く。
「もし……また入れ替わったとしても、私はきっと、君となら大丈夫だって思える」
そっとぬいぐるみに触れる。
瞬間、ふわりと光が舞った。
気づけば、元の体に戻っていた。
翌朝、学校で顔を合わせた二人は、どこか照れながらも微笑み合った。
「おはよう、悠真くん」
「おはよう、紗季……いや、紗季ちゃん、かな」
白い猫はもう、どこにもいなかった。
でも、あの数日間は、二人にとって確かに“魔法”のような時間だった。
そしてそれは、きっとこれからも続いていく。ゆっくりと、甘く。

アンティークショップにはロリータ売ってないですね。
みんなどこで買うんでしょうか?
安物なら楽天とかAmazonでも買えますが
安物だけあってしょぼい。
まともなのは高いけど、それだけの価値はありますね。
男でも一度着てみると良いさ。
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