暖かいリビングのソファに座り、リラックスした表情でスマホを片手に構える女性がいた。
パジャマに身を包み、片手に缶ビールを持ちながら、何気なく自分を自撮りしている。
「今日はこれでおしまいっと…」
満足げに頷きながら、彼女は写真を姉に送る。
そして、まるで何もないようなその穏やかな顔には、一つの秘密が隠されていた。
実はこの女性、姉の美咲ではなく、美咲の弟である「直人」だったのだ。
数日前、元気に登場した姉・美咲は、急に「一人旅に行きたい!」と言い出した。
直人は、「そんなに突然?」と驚いたが、美咲には一つ考えがあった。
「ナオ、お願い!お呪いで身体を入れ替えて、私の代わりに家にいてくれない?危ないから、男の体になって一人旅する方が気楽なんだよ」
美咲の言葉に驚いた直人だったが、結局、姉の頼みを断ることができなかった。
美咲はとても興奮しながら、古びたお守りを取り出し、二人で手を合わせて呪文のような言葉を唱えた。
すると、ふわっと身体が浮かぶような感覚に包まれ、気がつけば直人は美咲の体になり、美咲は直人の体に変わっていた。
「やったー!これで安心して旅ができるわ。ナオ、家のことは頼んだわよ!」
そう言って、直人が姉の体で戸惑っている間に、美咲はあっという間に荷物をまとめて旅に出て行ったのだった。
それからというもの、直人は美咲の体で家にいることになった。
元々、彼は出不精で外出するのが苦手だったため、家にいることには抵抗はなかった。
しかし、いつもの自分とは違う体で過ごすのは、やはり不思議な感覚があった。
「こんなに細い体で、よくあんなに元気に動き回れるよな…」
鏡に映った美咲の姿を見つめるたび、彼女のスリムな体に驚きと戸惑いを感じていた。
家の中でできることは限られていたが、スマホで映画を見たり、料理をしてみたりと、なんとか日々を過ごしていた。
ある日、何気なく自撮りをしていると、ふと美咲からのメッセージが届く。
「ナオ、ちゃんと私の体で楽しく過ごしてる?外出禁止って言ってるけど、つまらなくない?」
そのメッセージに直人は「大丈夫、意外と快適だよ」と返信したものの、姉の自由奔放な性格と違って、じっと家にいることが少し物足りなく感じていた。
夜になると、美咲からの写真付きメッセージがまた届いた。
そこには、観光地で満面の笑みを浮かべる直人(の体)の姿が写っている。
「ほら、見て!ここの景色、すごいでしょ?ナオも一緒に来ればよかったのに!」
「…いや、無理だよ」
直人は思わず笑いながら返信した。
普段は恥ずかしくてできないことも、美咲の体でなら、少し大胆に感じる瞬間が増えてきた。
そして、家で自撮りしてピースサインを送ることも、段々と抵抗が薄れてきた。
姉に代わって家を守りながら、何もない穏やかな日常を送っていた。
ある日、ふと思い立ったように、直人は美咲の服のクローゼットを開けてみた。
いつも見ることのない、華やかな衣装やアクセサリーがたくさん並んでいる。
「こんな服を着て出かけると、気持ちも変わるのかな…」
美咲の体で自分の世界を少しずつ広げてみたいという気持ちが、彼の中で芽生え始めていた。
しかし、まだ外出は禁止されている。
そこで、せめて室内で新しいファッションを試してみることにした。
数日後、旅から戻った美咲と再びお呪いを使って体を元に戻すことにした。
「どうだった?私の体での生活は」
「まあ…悪くなかったよ。でも、やっぱり自由に外を歩き回れる姉ちゃんが羨ましかったかな」
「そっか、ナオもちょっとは外に出てみたいって思うようになった?」
直人は照れくさそうに笑いながら頷いた。
入れ替わり生活を通じて、少し外の世界に興味が湧いたのだ。
そんな彼の変化に美咲は満足げに頷き、笑顔で彼を見つめた。
入れ替わり生活を経て、直人は少しずつ外の世界に足を踏み出すようになった。
姉の自由で明るい性格に触れたことで、自分の中にも新しい一面が芽生えたのかもしれない。
そして美咲もまた、弟との入れ替わりを通して、家で過ごす穏やかな時間の大切さに気づき、時折は自分をリセットするように過ごすようになった。
それぞれが新たな自分を見つけた姉弟は、以前よりも一層仲良く、そして尊重し合える関係になっていた。
女性の一人旅は注意しないとですからね。
旅先で何があるか分からないし。
身体を貸してくれる男性がいれば安心ですね。
まあ、家で何に使われてるかは分かりませんが。。。
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