休日の午後、カフェでのんびりと時間を過ごしていた隆也（たかや）は、どこか気だるげな雰囲気をまとった女性に話しかけられた。
白いセーターにストライプ柄のカーディガン、清楚な印象のスカート姿だが、どこか自由奔放さを感じさせる彼女は、妙に親しげだった。
「ねえ、君。ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」
突然の声に驚き、隆也は思わず顔を上げた。
目の前には、涼しげな笑顔を浮かべた女性が立っていた。
「俺にですか？」
「そう。ちょっとだけ、私と入れ替わってみない？」
冗談かと思った。だが、彼女の表情は真剣だ。
隆也が戸惑いを見せると、彼女はクスッと笑いながら鞄から小さなポーチを取り出した。
「これ、特別な薬なの。一時的に身体が入れ替わるんだって。ね、試してみない？」
突拍子もない提案だったが、彼女のどこか魅力的な雰囲気に、隆也は断る理由を探せなかった。
「いや、そんな非現実的な…」
「もし成功したら、お礼に美味しいスイーツでも奢るわよ。それに、異性の身体を体験できるなんて、滅多にないことじゃない？」
彼女の言葉に、隆也はつい想像してしまった。
女性の視点からこの世界を見てみるという経験。少しだけ興味が湧いてきた。
「本当に一時的なんですよね？」
「もちろん。2時間だけ。じゃあ、やってみる？」
彼女が差し出した錠剤を飲み込むと、瞬く間に意識が薄れ、次に目を開けたときには身体中に違和感が広がっていた。
隆也はゆっくりと手を動かし、目の前にある鏡に映った姿を見て息を呑む。
そこに映っていたのは、まぎれもなく目の前にいた彼女そのものだった。
「え、これ…俺の身体、どこ行ったんだ…？」
鏡の中の自分――いや、彼女の顔が驚きで引きつっているのを見て、改めて異常事態を実感する。
しなやかな手、柔らかな肌、長い髪の感触が妙にリアルだった。
一方、彼の身体に入った彼女は楽しそうに肩をすくめて言った。
「どう？そっちの身体、悪くないでしょ？ほら、動いてみて。」
言われるがまま、隆也は慎重に手足を動かし始める。
いつもより細い指が視界に入るたびに不思議な感覚がこみ上げてきた。
「うわ…歩き方が全然違う。」
慣れないスカートが膝に触れるたびに隆也はぎこちない動きをする。
彼女はそんな彼を見て、クスクスと笑った。
「大丈夫よ、そんなに警戒しなくても。リラックスして。せっかくだから、もっといろんなこと試してみなさいよ。」
その言葉に押されるように、隆也は意識的に肩や腕を動かしてみた。
普段の自分よりも遥かに華奢な体つきに、思わず感嘆の声を漏らす。
「なんか…軽いですね、全体的に。それに、この髪…長いのって意外と楽しいかも。」
髪を指で梳かすと、サラサラとした感触が心地よい。
普段は短髪で味わえないこの感覚に、隆也は少しだけ心が弾んだ。
次第に彼は、手の動きに合わせてカーディガンの袖を引っ張ってみたり、腰をひねってスカートの裾が揺れる様子を眺めたりと、女性の身体に対する好奇心を膨らませていった。
「面白いでしょ？服も髪も、全部が違って見えるんじゃない？」
彼女の言葉に、隆也は小さく頷いた。
「確かに…なんというか、自分じゃないみたいで新鮮ですね。でも、ちょっと恥ずかしいというか…。」
彼女は笑いながら、隆也の頭をポンと軽く叩いた。
「そんなこと言ってる間に時間がなくなるわよ。もっと楽しみなさい！」
街へ出ると、隆也は普段とは違う視線を感じることに気づいた。
道行く人々の視線が彼に――正確には、彼女の姿に集まっているのだ。
「これ、めっちゃ見られてません？普段こんな注目されないんですけど…。」
「それが女性の世界よ。可愛い格好をしていると、自然とみんなの目が集まるの。」
その言葉に、隆也は複雑な気分になりつつも、自分が「他人の視線に気づける立場」になったことに驚きを覚えた。
途中、彼女に連れられて化粧品売り場に立ち寄ると、隆也はさらに新鮮な体験をすることになる。
普段なら見向きもしないリップやアイシャドウの色味を試し、鏡越しに「女性らしい顔」を眺めたとき、思わず感心してしまった。
「こういうのも、なんか悪くないですね。普段こんなに自分の顔をじっくり見ないから、ちょっと楽しいかも。」
「でしょ？女性の身体って、面倒なことも多いけど、楽しめることもたくさんあるのよ。」
2時間が経ち、薬の効果が薄れ始めると、隆也は少しだけ名残惜しさを感じていた。
戻ったときに彼女に言った一言が、それを物語っている。
「なんか…また試してみたい気もしますね。」
彼女は意味深な笑顔を浮かべながら答えた。
「その気があるなら、また誘ってあげるわ。」
彼女との不思議な体験は、隆也にとってかけがえのない思い出として心に残るものとなった。
女性じゃなくても、女装して歩いていると、人によっては目を惹きます。
ロリータファッションなんかだと男女関係なく見ちゃいますね。
あとケバい化粧なんかしていると注目浴びそうな気がします。
きれいな女性なんかはやっぱり目で追いますが
それ以上に、奇抜な格好の人の方が目で追われるのかな？
と、思うことは過去に何度かありました。
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