「ねぇ、ちょっとお願いがあるんだけど…」
放課後の帰り道、高校生の浩二(こうじ)は突然見知らぬ女性に声をかけられた。
白い高級そうなコートをまとい、足元には革靴を履いたその女性は、まるでセレブのような雰囲気を漂わせていた。
「え? 俺ですか?」
浩二は戸惑いながらも立ち止まる。
「そう、あなた。少し時間をもらえるかしら? 大事な話があるの。」
女性の言葉にはどこか不思議な説得力があり、浩二は仕方なく頷いた。
「身体を…入れ替えてほしいの。」
浩二は思わず目を見開いた。何を言っているのかわからない。
「は? 何言ってんだ、アンタ?」
女性は落ち着いた声で続ける。「私はあなたにとって悪い話じゃないと思うわ。若くて、自由な体になれるのよ。それに、私の生活は…まあ、ちょっとセレブっぽいものだから。」
「セレブって…本当に?」浩二は疑いの目を向けながらも、その言葉に少しだけ興味を引かれる。
「ええ、本当に。あなたが私の体を使う間、私はあなたの体を使わせてもらう。ただ、それだけ。」
彼女の真剣な目を見ていると、冗談ではなさそうだということが伝わってきた。
「もし嘘だったらどうするんだよ?」浩二が少し挑戦的な声で言うと、女性はニヤリと微笑んだ。
「試してみればわかるわ。」
女性は浩二にそっと手を伸ばし、触れた瞬間、彼の視界が一瞬で暗転した。
次に目を開けたとき、目の前には見慣れた自分の顔がある。
「…本当に入れ替わったのかよ!」
浩二は慌てて自分の体を確認する。
白いコートに包まれた女性の体、そのすべてが自分のものになっていることに気づいた。
「うふふ、信じてくれた?」浩二の体に宿った彼女が笑い声を上げる。
「じゃあ早速、家に案内してくれる?」浩二は少し浮かれた気分で言った。
セレブの生活が待っていると思うと、心が踊る。
しかし、彼女に連れられて到着したのは、古びたアパートの一室だった。
「…なんだよ、これ。」浩二は呆然と立ち尽くす。
「これが私の“セレブ”な生活よ。」彼女は楽しそうに笑いながら言った。
「ふざけんな! 話が違うじゃねぇか!」浩二が怒鳴ると、彼女――つまり自分の体を使っているおばさん――はニヤリと笑みを浮かべる。
「まぁまぁ、そんなに怒らないで。新しい体の感覚、試してみたくない?」
浩二はベッドに押し倒されたまま、自分の体が持つ違和感に戸惑っていた。
女性の体の柔らかさや、肌に伝わる微妙な感覚が自分のものだという事実が、どうにも信じられない。
「ほら、触ってみなさいよ。自分の体なんだから、恥ずかしがる必要はないわ。」
おばさん――今では自分の体を使っている存在――が楽しそうに笑いながらそう言った。
「い、いや、そんなの無理だって!」浩二は頑なに首を振るが、おばさんは容赦なく彼の手を取り、その手を自分の頬に押し当てた。
「どう? 今までと全然違うでしょ? これが“女性の体”の感覚よ。」
浩二は驚きに目を見開いた。確かに、肌の感覚がいつもとまるで違う。
頬に触れた手がやわらかい。
自分の手なのに、触れられている側の感覚があまりに繊細で不思議な心地よさがある。
「…なんか、すごいな。」
思わず漏れた言葉に、おばさんは満足げに頷いた。
「そうでしょ? それだけじゃないわよ。動くだけで体のバランスが全然違うし、肌に触れる空気だって敏感に感じるの。」
浩二は少しずつ興味を持ち始め、恐る恐る自分の手で腕を撫でてみた。
その瞬間、背筋をゾクッとした感覚が走る。
「なんだよ、これ…?」
「あら、楽しんでるじゃないの。女の体って、そういうものなのよ。」
浩二は完全に混乱していたが、同時に好奇心が抑えられなくなっていた。
「でも…この体、やっぱりすごく動きにくいな。あと、胸が邪魔だし、腰がなんか変だし…」
そうつぶやく浩二を見て、おばさんはクスリと笑った。
「だから言ったでしょ。女性の体にはコツがあるの。無理に力を入れちゃダメ、リラックスして自然に動くこと。それに、感覚をもっと楽しむことよ。」
おばさんのアドバイスに従い、浩二は試しに肩や腰を動かしてみる。
確かに、力を抜いて動いた方がスムーズで心地いいことに気づいた。
「…なんか、慣れてきたかも。」
「そうでしょ? だから、もっと自分の体を大事にしなさいよ。」
その言葉にはどこか含みがあったが、浩二はそれに気づかないまま、徐々に女性の体の感覚に馴染んでいった。
翌朝、二人は再び元の体に戻ったが、浩二はどこか寂しさを感じていた。
「もし…また体を交換することがあったら…」
浩二がそう言うと、彼女は微笑みながら答えた。
「ふふ、時々なら悪くないかもね。」
こうして、奇妙な関係が始まることとなったのだった。
お金持ちの生活とかしてみたいですが、
それを餌に騙されると怖いですね。
見かけだけなら割と簡単に取り繕えますし。
実際にセレブでもおばさんだったらどうでしょうか?
私なら全然ありなんですが。。。
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